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都落ちの夢

Posted November. 10, 2023 09:08,   

Updated November. 10, 2023 09:08

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他人の目にはまともな地位を自ら蹴り飛ばして都落ちする人が、羨望の対象になることがたまにある。代表的な事例が魏晋時代の陶淵明で、彼は米5斗の禄のために上官に屈しないとして一つの村の首長の座を蹴って田園に戻った。ほぼ同じ時代、斉の王を補佐していた官吏・張翰の行動もまた、それに劣らず型破りだった。洛陽に秋風が吹くと、故郷の地蘇州のジュンサイ・スープとスズキの刺身が懐かしいと言って、忽然と官職を投げ捨てて故郷に向かって車を動かした。「一身上の都合」云々する中途半端な見せかけに比べれば、むしろ率直で堂々としているとでも言うべきか。

詩人は、明の初代皇帝、朱元璋の策士として強大な権勢を享受した人物。歴史家たちは彼のことを漢の初代皇帝・劉邦を補佐した張良、三国時代の劉備を助けた諸葛亮と比べることもある。そんな彼は、官職に懐疑的になり、都落ちを試みたが、それほど長くは続かなかった。かつて、彼と葛藤を起こした宰相が、皇帝に対して彼の不忠を誣告したため、潔白を証明するために彼は急いで朝廷に復帰しなければならなかった。詩人が再び都落ちしたのは、重病で死を控えた晩年のこと。詩酒の楽しさはもはや享受できなかった。