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時代を超えた美しさ

Posted December. 07, 2023 09:28,   

Updated December. 07, 2023 09:28

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真っ暗な背景の中で、ターバンを巻いて大きな真珠のイヤリングをした少女が私たちを凝視している。大きな瞳、しっとりとした唇、光を浴びて輝く真珠に魅せられないはずがない。モナリザほどの神秘的な表情をした絵の中の少女は、一体誰だろうか?

ヨハネス・フェルメールが描いた「真珠の耳飾りの少女(1655年)」は、世界的な名画だ。フェルメールは、17世紀のオランダの美術を代表する画家の一人だが、残した作品はわずか36点だけだった。一生デルフトで暮らした彼は、結婚して14人の子供を産み、義母と一緒に暮らしたこと以外に、生涯についても知られていない。

彼の名前が大衆的に広く知られたのは、割合最近のことだ。1999年、トレイシー・シュヴァリエが書いた小説「真珠の耳飾りの少女」が出版され、これを基に作った同名の映画が2003年に公開されてからだ。映画によると、絵の中の少女は画家が雇った女中だ。主人の指示で、トルコ風のターバンを頭に巻き、おかみさんの真珠の耳飾りをつけたままポーズを取った。光を浴びた少女は、振り返りながら、何かを話そうとするかのように口を少し開けている。しっとりとした両目から流れそうな涙は、イヤリングに結ばれて輝く。

モデルが下女という設定はもっともらしく見えるが、虚構だ。この絵は、特定人物の肖像画ではなく、「トロニー」だからだ。トロニーとは、人物の表情や顔立ちを研究するために描いた頭上画のこと。実際、絵のモデルやタイトル、年度は知られていない。現在のタイトルも、20世紀後半に付けられた。確かなことは、画家が少女を高貴な存在と表現しようとしたということだ。輝く真珠を描き、ウルトラマリンの顔料を惜しみなく使用した。当時、ウルトラマリンは金より高い希少鉱物で、聖母の衣服にしか塗られていない貴重な青色だった。

真珠は純潔さと美しさを象徴する。もしかしたら、画家は聖母のように純潔で神聖な存在、あるいは時代を超越した美しさを少女の神秘的な表情を通じて見せようとしたのではないだろうか。