「どんな席でもできます」
プロ野球自由契約選手(FA)の資格を得てロッテからハンファに移籍した安致弘(安致弘=33)は、ハンファのチェ・ウォン監督(50)に初めて会った席でこのように切り出した。安致弘は「シーズンが始まればどんな状況が起こるか分からない。チームのためなら二塁手、一塁手だけでなく三塁手、遊撃手としてもプレーできる」と話した。
安致弘はソウル高校在学中に高校野球トップクラスの遊撃手だったが、プロでは主に二塁手としてプレーし、2011、2017、2018年にはゴールデングラブを受賞した。2018年ジャカルタ・パレンバン・アジア大会では三塁手を務め、韓国の大会3連覇に貢献した。加齢と共に守備範囲が狭くなったこの2シーズンは、1塁手として出場した試合も増えた。
安致弘は1~9番まで全打順をそれぞれ100打席以上を務めた記録も保持している。ポジションと打順を問わず、チームが必要とするポストなら喜んで引き受ける選手だった。警察庁野球団で兵役をクリアし、シーズン終盤に復帰した2016年(10試合)を除いては、毎シーズン100試合以上出場した。安致弘がプロ野球球団のフロントの間で「計算の立つ男」と言われる理由だ。
契約期間最大6年に総額72億ウォンの条件でハンファと契約した安致弘は、「私は最優秀選手(MVP)級のシーズンを過ごしたことはない。その代わり、毎年着実に良いプレーを見せてきことを誇りに思っている。要領よく野球をしたことが一度もなかったが、ハンファが私のそういうところを高く買ってくれた。今のハンファには私みたいに野球と向き合う態度が必要だと言われた」と話した。
ハンファには今季本塁打王のノ・シファン(23)、新人王投手のムン・ドンジュ(20)、2021年ゴールデングラブ二塁手部門受賞者のチョン・ウンウォン(23)ら「スター有望株」が少なくない。ハンファは彼らが安致弘から着実に成績を出してきた経験まで伝授され「有望株」のレッテルを外すことを望んでいる。安致弘もやはり「ハンファに若い選手が多いので、ベテランとしてシェアできるものが多いだろうという期待もハンファを選択した理由の一つ」と話した。
安智弘だからといって試行錯誤がなかったわけではない。安致弘はKIAでプレーしていた2013年、長打力を磨くために打撃姿勢を変えたが失敗を味わった。本塁打は前年度に続き3本で横ばいで、打率は.288から.249に落ちた。2014年シーズン開幕を控え、再び精度を上げることに集中し、打率を.339に上げると同時に、本塁打は18本に増やした。当時まで安致弘の1シーズン最多本塁打記録だった。
「キャリアハイ」シーズンを送った安致弘は、2014年仁川アジア大会代表入りを狙ったが失敗に終わると、球団に年俸契約を白紙委任し、警察庁に入隊した。当時の警察庁コーチだったキム・スギル氏は、「致弘は本当に独りぼっちだ。MERS(MERS・中東呼吸器症候群)が流行した時、致弘が熱が39度近く上がったことがあるが、それでも競技場に出てバットを振るっていた」とし、「致弘が着実に上手にやっているのには理由がある」と話した。
軍服務を終えて復帰した安致弘は2017年に打率.366、21本塁打、93打点を記録し、当時所属チームKIAのレギュラーシーズン、韓国シリーズ統合優勝に貢献した。新人時代の2009年に続き、個人2度目の統合優勝だった。安致弘は、「SSGで優勝経験を経験したキム・ガンミン先輩(41)とハンファで一緒にプレーすることになった。僕ら二人の異なる優勝経験が(1999年以降)ハンファの2度目の優勝に向かう道に役立ててほしい」と話した。
カン・ドンウン記者 leper@donga.com