尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の歴訪で、「半導体サプライチェーン」の主要柱の役割を受け持っているオランダが新しく注目されている。特に尹大統領と李在鎔(イ・ジェヨン)三星(サムスン)電子会長、崔泰源(チェ・テウォン)SKグループ会長が共に訪問する半導体装置メーカー・ASMLは、先端半導体の生産に欠かせない露光装置を事実上独占的に生産している。人工知能(AI)の拡大に伴い、高性能チップの市場が急激に成長し、韓米日半導体同盟の成否がオランダとの協力の度合いによって分かれる可能性もあるという分析も出ている。
11日、半導体業界によると、ASMLは、米アプライドマテリアルズやラムリサーチ、日本東京エレクトロンと並んで、世界4大半導体装置メーカーに挙げられる。市場調査業者のスタティスタ集計基準で、昨年のグローバル半導体装置市場のシェアは、アプライドマテリアルズ(20%)が1位、ASML(18%)が2位だった。
半導体は、回路を刻む露光、削るエッチング、洗う洗浄、膜を重ねる蒸着などの過程を経て製作される。ASMLは、露光分野で世界1位の企業だ。半導体基板であるウェハーに微細で複雑な回路を描くコア装置を生産する。特にASMLが世界中で独占的に供給する極紫外線(EUV)の露光装置は、7ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)級のシステム半導体および10ナノ半ば級未満のDラムなど、超微細工程に欠かせない。
ASMLが年間生産できるEUV装置は、50台程度に限られている。半導体メーカー間の装置確保の競争が激しい理由だ。これまではファウンドリ(半導体の受託生産)世界1位の台湾のTSMCが総なめしていた。三星電子のEUVの保有台数は、TSMCの半分の水準だという。ASMLが、顧客社より影響力の強い「スーパー乙」と呼ばれる理由だ。
韓国国内企業も、オランダとの関係に格別に力を入れている。李会長は2020年10月と昨年6月、それぞれオランダを訪れ、ASMLを直接管理している。今年に入ってから一部売却したものの、三星電子は依然としてASMLの持分0.4%を保有している。SKハイニックスは2021年、ASMLと5年間4兆7000億ウォン規模のEUV装置の長期供給契約を交わし、協力を続けている。昨年11月、オランダのマルク・ルター首相の訪韓当時、尹大統領は首脳会談に先立って、ASMLのピーター・ベニンク最高経営責任者(CEO・会長)と会談した。この席には、李会長や崔会長も出席した。
国内半導体業界にとって、EUV装置の確保は最も急がれる課題の一つだ。生成型AIを中心としたAIサーバーやAIフォン、AIコンピューターなどが急速に拡大しているためだ。AI用高仕様プロセッサーのため、グラフィック処理装置(GPU)などのAIチップはもとより、先端メモリDラムの需要も大幅に増える見通しだ。
トレンドフォースによると、第3四半期(7~9月)のファウンドリ市場のシェアは、TSMCが57.9%、三星電子が12.4%で、両企業間の格差は45.5%ポイントまで広がっている。三星電子としては、顧客を追加で確保するためには、先端工程の拡大が急がれる。米国や日本などの追撃も厳しい。インテルは、10月からEUVを初めて適用した「インテル4」の工程で半導体チップの生産を開始した。14日、AI用チップとして発売されるインテルの次世代中央処理装置(CPU)「コアウルトラプロセッサー」も、EUVを通じて生産される。
メモリ分野でも、米マイクロンが日本の広島工場にEUV技術を導入し、先端半導体の量産に乗り出す計画だという。メモリの強者である三星電子とSKハイニックスが、余裕を持つ暇などないという意味だ。
KAIST電気電子工学部のキム・ジョンホ教授は、「ファウンドリなどの超微細工程において、EUVはなくてはならない装置となっている」とし、「今後、グローバル企業と競争し、韓国のAI半導体産業を育成するために、オランダおよびASMLとの協力強化は非常に重要な課題だ」と話した。
パク・ヒョンイク記者 beepark@donga.com