「ごめんね、赤ちゃん」

赤ちゃんはみんなかわいいが、すべての赤ちゃんが祝福の中で生まれてくるわけではない。子どもが貴重な少子化の時代にも、ベビーボックスには母親の懐から離れた子どもたちがやって来る。警察庁によると、この１０年間に親が誰かわからないまま捨てられた子どもは１２００人にのぼる。産まれたばかりで放置された子どももいる。東亜（トンア）日報のヒーローコンテンツチームの「迷子：懐を失った子どもたち」は、捨てられ、放置された子どもたちを追跡した企画だ。小さな命が直面した氷のような現実を目撃した取材チームは言う。「ごめんね、赤ちゃん」。

生後１００日を過ぎたばかりのユジュンは、寝る場所が６回変わった。病院で生まれ、ベビーボックス、区役所と市庁舎の一時保護所、相談室を経て、今は遺棄児童専用保護施設で暮らしている。親が迎えに来るのが一番いいが、そうでなければ養子縁組、家庭委託、グループホーム、保育院での生活を余儀なくされる。他人であっても暖かい懐に抱かれているユジュンは幸せな方だ。未婚の母親と同居人の間に生まれたヒョクジェは放置され、瀕死の状態で救出された。隣で発見された姉は栄養失調で死んでいた。親と目を合わせたことも、親の声を聞いたこともないヒョクジェは、４歳なのに言葉がうまく話せない。

貴い命を捨てる理由は、「出産したことを知られるのが怖くて」「育てる能力がないから」だという。捨てられる子どもたちは、ほとんどが虐待を受けて育った１０代、２０代前半のシングルマザーの望まない妊娠で生まれる。ベビーボックス出身の小学生２４１人を追跡調査したところ、半数以上の子どもがカウンセリング治療を受けていた。何があっても自分のそばにいる家族がいない状態で、「おばさん」「おじさん」と呼ばれる複数の保護施設の人々のケアを経て、情緒不安を抱えて暮らしている。

子どもは親のもとで育つのが一番理想的だ。ベビーボックスに捨てた後、再びやって来るケースは３割だという。準備ができていない妊娠をした親が出産と育児について相談や支援を受けられる場所や、困難な状況でも出産を決意した場合、経済的自立を支援する場所がなければならない。それでも捨てられた子どもたちは国の責任だ。瀕死の状態で救出されたヒョクジェは、委託家庭ですくすくと育っている。ヒョクジェを捨てた母親は、「愛を受けられずに育ち、与えることを知らなかった」と話したが、ヒョクジェは小さな手で里親の手伝いをする。すべての子どもたちが愛をたっぷり受けて育ち愛を与える方法を知るように、社会が「良い大人」の役割を果たさなければならない。