クリスマスはクリスチャンだけでなく、地球上の多くの人々が待ち望む楽しい記念日だ。せっかくなら雪が降るホワイトクリスマスが期待される。ピーテル・ブリューゲルが描いた「ベツレヘムの人口調査」(1566年・写真)は、雪の降る風景を描いた最初の絵の一つだ。
ブリューゲルは、聖書の物語を自分が生きた時代に置き換えて描いたことで有名だ。この絵の背景も聖書の中のベツレヘムだが、実際には画家が住んでいた16世紀のオランダの日常風景が広がっている。雪の降る冬の夜、人々が左側の旅館の建物に集まっている。ローマ皇帝の命令で戸籍申告のために故郷に来た人々だ。ドアの前で書記官が人々の人的事項を記録して税金を徴収しており、槍を持った兵士が傍らに立っている。村人たちは酒樽や薪を荷車に積んだり、豚を捕まえて料理を作ったりするなど、厳しい寒さの中、それぞれの生業に精を出している。子どもたちは氷の上でコマを回したり、そりに乗ったりしており、遠くに見える酒場の前には酒を飲みに来た男たちが並んでいる。
200人もの登場人物の中には、マリアとヨセフもいる。前景の真ん中にいる彼らは、ナザレを離れ、今まさにベツレヘムに到着したばかり。ロバに乗った臨月のマリアは頭まで青いマントをかぶり、のこぎりを肩に担いだヨセフはロバを引いて宿屋に向かっている。頭に後光もなく、容姿も特別ではない聖母。画家はイエスの母さえも普通の隣人の姿で描いた。ヨセフはあの大勢の人混みを掻き分けて宿を得ることができなかった。そして雪の降るその夜、粗末な馬小屋でイエスが生まれた。だから、ホワイトクリスマスなのだ。
この絵は明らかに聖書の物語を描いた宗教画だ。しかし、日常生活の場面を示す風俗画の形式を取っている。雪景色とホワイトクリスマスを描いた最初の風景画でもある。このように異なる3つのジャンルを一つの画面の中で同時に見せる16世紀の画家の才能にただ驚かされる。