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今年の皆さんの物語は何ですか

Posted December. 30, 2023 08:07,   

Updated December. 30, 2023 08:07

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営業マンとして全国各地を転々としながら働いて、病気になって家に帰ってきた父。死を目前に控えた父親は息子に自分の人生を語る。現実よりは幻想に近い、信じがたいほど荒唐無稽なエピソードもあるが、父親が聞かせてくれた話を通じて息子は父親の偉大さと失敗を同時に理解する。父親の話を聞いた息子はこう話す。「私の父は神話になった」。

映画化もされたダニエル・ウィリスの小説「ビッグフィッシュ(Big Fish)」のあらすじだ。この小説を翻訳した西江(ソカン)大学の故チャン・ヨンヒ教授は「多くの人々が集まって世の中を成して生きていくということは、結局多くの物語を作っていく過程だ。誰もが自分の人生ではその戦いに勇敢に挑む英雄たちだ」と話した。

ストーリーの力は個人だけでなく組織にも適用される。ハーバード・ビジネス・スクールのフランシス・フレイ教授とリーダーシップコンソーシアの創設者であるアン・モリスは、ハーバードビジネスレビュー(HBR)最近号に掲載された記事「大胆な変化をもたらすストーリーテリング」で組織に大きな変化や早急に解決しなければならない問題が生じた時、リーダーがまずしなければならないことは、明瞭で説得力のある物語を作ることだと助言した。

フレイ教授は「組織改革は通常7割が失敗に終わるが、説得力の高い物語を作れば勝算が高くなる」として「ストーリーは革新がなぜ必要なのかを説明するだけでなく、未来がどのように変わるのかを具体的で鮮やかな言語で見せてくれる」と話した。

新しい未来のためのストーリーを作るためには、まず過去を振り返らなければならない。特に、この過程で過去を尊重する姿勢が必要だ。変えたいことに集中しすぎると、変わってほしくないことを忘れてしまうかもしれない。社内セクハラと技術盗用などで危機に陥ったウーバーの救援投手として赴任したダラ・コズロシャヒ最高経営者(CEO)は2017年、全従業員との初会合でウーバーがどれほど壊れているかを強調する代わりに「ウーバーを市場の強者にしたその競争力を維持していく」とし、従業員から絶大な支持を得た。

リーダーは自分の率直な物語で組織を変えることができる。リーダーが自分自身にする物語は本人が構想する組織の変化のための踏み台になり、これを他の人々と上手に共有する時、物語は現実になる。ボストンコンサルティンググループのBCGヘンダーソン研究所のマーティン・リーブス会長は「人々は常にストーリーに興味を持ち、これを通じて世の中を理解する」として「単純な事実と情報はストーリーを通じて初めてビジネスがどのように機能し、どこに向かっているのかに対する高度な価値を伝え、これは急変する世の中で競争優位の重要な源泉になるだろう」と話した。

研究によると、ストーリーテリングには人々を結び付け、行動を起こすようにインスピレーションを与える驚くべき力がある。米国の作家ティム・オブライエンは「ストーリーテリングは人間にとって必ず必要な活動で、厳しい状況であるほどストーリーテリングの必要性はより一層大きくなる」と話した。1年が暮れていく今、今年の私または組織を支えてくれたのは何か、新年により良い変化をもたらすことは何かを考えながら自分の物語を作ってほしい。