「家族5人を失ったが、ガザ地区で起きていることを報道し続ける」
昨年10月末、イスラエルのガザ地区難民キャンプへの空爆で、妻、子ども2人、孫を失ったが、すぐに現場中継に戻って注目された中東カタールの衛星放送局アルジャジーラのガザ地区支局長、ワエル・アル・ダハドゥ氏(54)。ダハドゥ氏は7日、アルジャジーラのカメラ記者である長男ハムザ氏(28)まで失った。イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの戦闘で家族5人を失ったことになる。ダハドゥ氏は同日行われたハムザ氏の葬儀にも、いつものように「press」と書かれた青い防弾チョッキを着ていた。
アルジャジーラは同日、ハムザ氏がガザ地区南部の最大都市カーンユニスから近くの難民キャンプを取材するために車に乗って移動していたところ、イスラエルの空爆を受けてその場で死亡したと明らかにした。ハムザ氏のほかに、車に同乗していた同僚記者1人も死亡し、3人が負傷した。車の屋根とボンネットがすべて消失し、空爆当時の惨状を推測させる。
ダハドゥ氏は妻との間に8人の子をもうけた。長男で報道の後輩であるハムザ氏は、弟妹の心の支えであり、1歳の息子を持つ父親でもあった。ハムザ氏の葬儀で、弟と妹は遺体の上に伏せて号泣し、「もう私たちにはお父さんしかいない」と絶叫した。
ダハドゥ氏も昨年12月、取材中に空爆で負傷した。同日も右手に包帯をした状態で、冷たくなったハムザ氏の手を握った。ハムザ氏の葬儀を終えたダハドゥ氏は、「ガザの民間人やジャーナリストに起きていることを見よ。ここに正義はない」と憤った。
ジャーナリスト保護委員会(CPJ)は、昨年10月にイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの戦闘が勃発して以降、今月4日までに少なくとも77人のジャーナリストが犠牲になったと明らかにした。CPJは、ハムザ氏事件に対する独立調査を実施するよう求めた。
イ・ジユン記者 asap@donga.com