米国と英国が12日未明(現地時間)、世界物流の「動脈」である紅海を攻撃してきた親イランのイエメンの反政府勢力フーシ派の軍事施設を攻撃した。昨年10月に勃発したガザ地区の戦闘後、米英連合軍が中東地域で開始した初の武力空爆であり、米国とイランが激突する全面的な中東紛争に発展することが懸念されている。
バイデン米大統領は同日、声明を出し、「米英軍が豪州、バーレーン、カナダ、オランダの支援を受け、イエメン内の多数の標的を攻撃した」と明らかにした。英国のスナク首相も今回の攻撃について、「必要で(フーシ派の攻撃に)比例した措置」と述べた。
米中央軍司令部によると、米英連合軍は潜水艦や戦闘機などを動員し、フーシ派の拠点16ヵ所で60以上の標的を攻撃した。中央軍司令部は、「航行の自由に対する国際社会の約束を強化し、紅海での商業船舶に対するフーシ派の繰り返される攻撃に対抗する多国籍攻撃」と宣言した。
韓国など10ヵ国の政府も支持声明を発表した。韓国や米国、英国、豪州、バーレーン、カナダ、デンマーク、ドイツ、オランダ、ニュージーランドなどは、「国連憲章に合致する個別および集団的自衛権によるもの」とし、フーシ派の攻撃にさらされた自国船舶の保護措置だと強調した。
奇襲攻撃を受けたフーシ派はAFP通信に、「空爆の代償を払うだろう」とし、「イスラエルと関連する船舶への攻撃を止めない」と反発した。イランも、「イエメンの主権と領土保全に対する明らかな違反であり、国際法に反する」と非難した。ハマスを支持していたロシアも空爆直後、国連安全保障理事会の緊急会議の招集を要求した。
紅海を欧州市場の玄関口としている国内産業界も打撃を避けられない。中国や東南アジアなどから部品を調達して欧州内の生産工場に輸送するテレビや家電業界、完成品を輸出する自動車・素材・石油化学業界のすべてが影響を受ける。紅海と欧州を結ぶスエズ運河は、韓国家電業界全体の海上輸送量の10%程度を担っている。
国際原油価格も揺れている。米ニューヨーク商業取引所で、2月引渡し分のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は12日、前日終値比約2.7%上昇した1バレル当たり73.96ドルで取引された。韓国政府関係者は、「中東地域の紛争が発生すると原油価格が敏感に反応するため、推移を注視している」と話した。
趙은아 achim@donga.com