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持株9株の小口株主に敗訴したマスク氏、75兆ウォンを失う危機

持株9株の小口株主に敗訴したマスク氏、75兆ウォンを失う危機

Posted February. 01, 2024 08:06,   

Updated February. 01, 2024 08:06

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世界最高富豪のテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、小口株主が起こした訴で、約558億ドル(約74兆5000億ウォン)のテスラ株を失う危機的状況に置かれている。1審ともいえる米デラウェア州裁判所が先月30日、マスク氏が掌握しているテスラの取締役会によって不適切にまとめられた補償パッケージ案に基づいてマスク氏が同株式を確保したとし、小口株主の肩を持ったためだ。

この金は、マスク氏が世界1位の金持ちになるのに相当な役割を果たした。これをめぐり、ブルームバーグ通信は、「この株式が奪われれば、マスク氏は世界3位の富豪に下がる可能性がある」と見通した。また、CEOに膨大な補償パッケージを提供している他の企業にも警鐘を鳴らすことができると、ニューヨークタイムズ(NYT)などは診断した。企業の取締役会は、CEOの「挙手機」の役割をせず、特定CEOの独断の経営にブレーキをかけろという社会全般の圧力も高まるものと見られる。

●小口株主「マスク氏はテスラの経営を疎かに」

デラウェア州裁判所のキャサリン・マコーミック判事は同日、被告人のテスラはマスクCEOに対してなぜそのような補償をしたのかについて適切に立証できなかったとし、「取締役会の補償決定過程に欠陥がある」と判決した。特にマスク氏の弟やマスク氏に借金をした人々がテスラの取締役であり、他の取締役陣もマスク氏と「固い絆」を持っていると指摘した。

2018年にテスラの株主総会を可決された補償案は、マスク氏が売上や時価総額など12の特定目標を達成する度に、彼にテスラ株式の約1%ずつを提供することが主な内容としている。マスク氏は4年後の2022年に目標を全て達成し、558億ドル分の株式を受け取った。

2018年当時、テスラ株9株を所有していた小口株主のリチャード・トネタ氏は、この補償案を容認できないとし、2022年10月に訴訟を起こした。彼は、この補償案は未曾有の高額であり、マスク氏が取締役会に圧力を行使してこの補償案の承認を誘導し、テスラもまた重要情報を株主に公開しなかったという主張を展開した。

特にトネタ氏は、「株主たちは、マスク氏が直接自分の補償計画を立てたり、取締役会の構成員がマスク氏に隷属したりしているという話を聞くことができなかった」と反発した。マスク氏が掌握した取締役会が、マスク氏が望む通り補償をしたが、株主たちは全く知らなかったという意味だ。

マスク氏が2022年末、テスラの株を売ってツイッター(現在のX)を買収後、トネタ氏を含めた多くの株主の不満はさらに大きくなった。トネタ氏は、電気自動車業界の競争激化でテスラの経営が危機に瀕している中、マスク氏はツイッターに気を取られたため、テスラを疎かにしたと主張した。

マコーミック判事は判決文で、「マスク氏は、経営者が会社に行使できる最大限の影響力を行使した」とし、テスラ取締役会の決定はマスク氏の影響力下にある」と判決した。マコーミック判事はかつて、マスク氏がツイッターの買収を撤回するとしてツイッター側と訴訟を起こす時も該当裁判を担当した。

●マスク氏は控訴を予告、「テキサスに移る?」

判決後、マスク氏のXを通じ、「デラウェア州では企業をするな」と反発し、控訴を予告した。また、「テスラを、実際に本社のあるテキサスに移さなければならないのか」などの投稿を次々と行っている。テスラ法人は、法人税の低いデラウェア州に登録されているが、本社工場はテキサス州に構えている。

マスク氏は、この裁判が始まった時から、自分の補償案は取締役会の自主的な決定によってなされたとし、補償の正当性を主張した。テスラの売上や時価総額などが増加したのはもちろん、テスラが電気自動車業界を越えて世界の様々な分野に相当な影響を及ぼしたのは、すべて自分の功績だという主張だ。

マスク氏が控訴審でも敗れれば、テスラは彼に558億ドルの補償案の代わりに、より低い金額の補償案を提供しなければならないかもしれない。マスク氏の資産価値の下落が続く可能性がある。テスラの持分を現在の13%から25%に増やすというマスク氏の目標も、支障をきたすものと見られる。


金玹秀 kimhs@donga.com