今月24日で2年を迎えるウクライナとロシアの戦争、イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスを越えて戦闘拡大の様相を呈している中東紛争など、様々な軍事技術が実戦に適用される戦場で最近最も目につく兵器がある。それは無人機(ドローン)だ。ウクライナとロシアの両国は、兵器の枯渇に苦しむ中、安価で効率的な攻撃が可能なドローンを積極的に活用している。ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ドローンシステム部隊を別途創設する」と述べ、ロシアもウクライナの基幹施設をドローンで集中攻撃している。
中東紛争も、ハマスがドローン攻撃で砲門を開いた。イランが支援するイエメンの反政府勢力フーシ派も、ドローンで紅海の海路を麻痺させている。北朝鮮もドローン挑発に積極的で、韓国もドローン防衛システムの構築に力を注いでいる。
● ゼレンスキー氏「ドローン部隊を創設」
ゼレンスキー氏は開戦2年を控え、ドローンを「戦況逆転」の一手と信じている。ロイター通信によると、ゼレンスキー氏は6日、夜間のビデオ演説で、「わが軍にドローンシステム部隊を創設する法令にたった今署名した」と述べ、「ドローン戦争の速度戦」を強調した。ゼレンスキー氏は昨年12月にも、「今年100万台のドローンを生産する」と発表した。
ウクライナは、ドローンを敵の心臓部まで攻撃できる「最精鋭の尖兵」と考えている。実際、ロシアのプーチン大統領が滞在するモスクワの大統領府が昨年5月、ドローン攻撃にさらされた。同年8月、ウクライナのドローン攻撃でモスクワ空港が麻痺したこともあった。
ロシアにとってもドローンは重要だ。ドローンを利用してウクライナのダムやエネルギー施設、戦車などを何度も破壊した。ウクライナのインターネットメディア「Euromaidan Press」は昨年11月、「ウクライナの一人称視点(FPV)のドローンの生産量が毎月5万台であるのに対し、ロシアは30万台に達する」と伝えた。
ますますドローンが大きな注目を集めるのは、「コストパフォーマンス」のためだ。戦争が長期化し、兵器と財源が枯渇すると、ドローンほどの兵器はないと判断されている。代表的な事例が「FPVドローン」。英誌エコノミストは5日、「FPVドローンが最前線で『神話』に近い地位を得ている」と報じた。ウクライナ東部バフムートのドローン部隊「アキレス」は最近、300~500ドル(約40~66万ウォン)相当のFPVドローン数台で数百万ドルにのぼるロシアの重火器を倒した。
ドローンは心理戦にも最適だ。明白な砲撃とは異なり、ドローンは音もなく飛んで攻撃する「静かな暗殺者」だからだ。
● ハマスのドローン、イスラエルの最先端兵器を破壊
最近、中東戦争もさらなる「ドローン戦争」の様相を呈している。昨年10月7日のハマスの空爆の中心にもドローンがあった。イスラエルがハマスの挑発を先制的に制圧しようと天文学的な費用をかけて開発した「スマートフェンス」の遠隔操作兵器システム(RCWS)は、小さなドローンが投下した小型爆発物によって虚しく破壊されてしまった。
イエメンの反政府勢力フーシ派も最近、ドローンで紅海航路の米国、英国の船舶を脅かしている。フーシ派は早くからドローンの価値を認識し、準備していたという分析もある。イエメンに本部を置くシンクタンク「サナ戦略研究センター」によると、フーシ派は2019年を「ドローンの年」と宣言し、積極的にドローンを生産してきた。
ドローンは他国の戦争の話と割り切ることもできない。韓国軍当局は、22年12月に発生した北朝鮮の無人機のソウル上空侵犯事件など、ドローンの挑発に対応するため、昨年9月に国防部直轄部隊としてドローン作戦司令部を創設した。先月には申源湜((シン・ウォンシク)国防部長官が同部隊を訪問し、「ドローンは戦場のゲームチェンジャー」とし、「最近のロシア-ウクライナ戦争、イスラエル-ハマスの武力衝突など、実戦で有用性が証明された兵器システム」と強調した。
趙은아 achim@donga.com