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3時間に大型船舶2隻だけ、フーシ派はまたもミサイル 「物流の動脈」スエズ運河を行く

3時間に大型船舶2隻だけ、フーシ派はまたもミサイル 「物流の動脈」スエズ運河を行く

Posted February. 21, 2024 08:35,   

Updated February. 21, 2024 08:35

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「最近、船が通るのを見るためには、しばらく待たなければなりません。観光客の足も途絶えました」

18日午後、エジプト北東部のスエズ運河。近くの物流会社で働いて2年目のハディルさんは、閑散とした運河を眺めながらため息をついた。ハディルさんは、「数ヵ月前までは大型船舶の往来が絶えなかったが、(イエメンの反政府勢力フーシ派の)紅海攻撃後、船が減って閑散としている」と伝えた。

世界の物流の12%が通過する海上物流の動脈。地中海と紅海を結ぶ世界最大のスエズ運河が「開店休業」に苦しんでいる。昨年11月19日、イエメンの反政府勢力フーシ派がイスラエルのガザ地区撤退などを要求して、軍艦だけでなく民間の商船まで攻撃して以降、大型船舶が1時間に1隻しか通過しないほど機能していない。

事実上止まったスエズ運河は、紅海発の物流大乱を如実に示している。韓国も欧州に向かう自動車輸出の航路が封鎖され、1月の釜山(プサン)貿易収支が3ヵ月ぶりに赤字に転じた。19日にもフーシ派の攻撃で英国の貨物船が沈没するなど、事態は収まる気配がない。

●3時間で大型船舶わずか2隻が通過

スエズ運河は通常、午前は紅海から進入して地中海に向かう船舶が、午後は反対側に向かう船舶が通過する。紅海に進入した船は、現在、フーシ派の攻撃が集中しているアデン湾付近を通過した後、アジアなどに向かう。

18日午後1時から4時までの3時間見守ったところ、コンテナなどを積んだ大型船舶と呼べる船は2隻しか通らなかった。船舶検索サイト「ベッセルファインダー」によると、2隻はサウジアラビアのジェッダ港が目的地なのでアデン湾まで行かないか、途中寄港地がイランなので親イラン勢力であるフーシ派が攻撃しない船だった。

通常、船が運河を通過する前にエジプトの警備艇が先に出航する。周辺航路の安全を確認し、万一の事態に備えるためだ。船舶貸渡業に従事するエルサリさんは、「忙しく動いていた警備艇が最近は数時間停泊している」と話した。

スエズ市で40年以上旅行代理店を経営しているサラミさんは、「スエズ運河は『エジプトの名物』で国内外の観光客が集まったが、最近、雰囲気が殺伐とし、訪れる人が減った」と嘆いた。ハディルさんも、「コンテナを満載した大型船舶が行き交う光景は壮観だが、最近では見られない風景だ」とし、「時折通る船も、遠くから見ても貨物が激減しているのが目につく」と話した。

●第3四半期まで事態解決できない可能性も

紅海一帯で米国と英国が主導する国際連合軍の軍事作戦もあまり効果を上げていない。英紙フィナンシャル・タイムズによると、19日、ブルガリアに向かっていた英国の貨物船がフーシ派のミサイル攻撃を受け、船員が沈没する船を捨てて近くのジブチに避難した。貨物を捨てて船員が避難したのは、中東紛争後初めて。同紙は、「昨年11月から30回以上続いたフーシ派の攻撃の中で最も『致命的』だった」と伝えた。

世界の海運会社は時間と費用がかかっても、南アフリカ共和国の喜望峰に迂回するルートを取っている。スエズ運河庁(SCA)は最近、「これにより、昨年に比べて船舶の通行量は30%減り、容積トン数も41%減少した」と発表した。

エジプトにとっては経済的ショックが大きい。エジプトのシシ大統領は同日、「運河の先月の収益が以前より4~5割減少した」と明らかにした。エジプトを含む中東に進出した韓国企業への影響も深刻だ。ある国内企業関係者は、「私たちとしては、すべてが2~3週間以上遅れる現在の状況を『ニューノーマル』と受け止めている」と伝えた。

グローバル海上輸送費も最近1ヵ月間に7割以上急騰した。世界2位の海運会社マースクの北米地域社長のチャールズ・ヴァン・デル・スティン氏は14日、「当分の間、紅海で劇的な変化が起こる兆しは見当たらない」とし、「今年の第3四半期(7~9月)までスエズ運河の通行が困難かもしれない」と米CNBCに明らかにした。


スエズ=キム・ギユン特派員 pep@donga.com