「ビラ(長屋のような集合住宅)の伝貰(チョンセ=賃貸保証金)は信頼できません。次の家を探すのが怖いです」
会社員のパク某氏(35)は最近、2回連続で伝貰詐欺にあった。パク氏が2022年に居住していた保証金3億ウォンのソウル陽川区(ヤンチョング)のビラは、近隣の数百軒を借名で保有していた伝貰詐欺グループの物件だった。その後、江西区禾谷洞(カンソグ・ファゴクドン)に引っ越したが、伝貰満了の今年7月を控えて家主から突然保証金を返すことができないと通知が届いた。幸い、2度とも住宅都市保証公社(HUG)の伝貰保証保険に加入していた状態だった。敷金はHUGから返してもらったが、ビラ伝貰に対する不信感は深まるばかりだった。パク氏は、「伝貰詐欺事件が知らされた後、江西区一帯の家賃が100万ウォンを越えている」とし、「伝貰は怖く、月貰(ウォルセ=月々の家賃)は住居費がとても負担になる」と話した。
昨年2月28日、仁川弥鄒忽区(インチョン・ミチュホルグ)で起きた大規模な伝貰詐欺被害者の死亡事件を機に、同じ被害が大々的に知らされてから1年間でソウルのワンルームおよびツールームの家賃が急激に上がったことが分かった。管理費まで加えれば、庶民の住居費は月平均100万ウォンを越えている。伝貰詐欺で「ビラ伝貰」を避ける現象が広がり、月貰に需要が集中したためだ。
26日、東亜(トンア)日報の分析によると、昨年3月から今年2月まで、ソウルの専用40平方メートル(約12坪)以下のビラの平均家賃は85万ウォンだった。伝貰詐欺被害の拡大直前の1年間(2022年3月~昨年2月)の74万6000ウォンに比べ13.9%上昇した。オフィステルの家賃も同期間、76万5000ウォンから83万ウォンへと8.5%上昇した。国土交通部の実取引価格公開システムの2021年6月から今年2月までのソウルのヴィラ・オフィステルの伝貰の新規契約64万7965件を分析した結果だ。
ここに2022年の住居実態調査にともなう連立住宅(長屋のような集合住宅、17万8000ウォン)と多世帯住宅(集合住宅、16万4000ウォン)の管理費やガス・電気料金などを考慮すれば、ソウルのワンルームやツールームの平均住居費は月100万ウォンを越える。政府が昨年3月発表した「青年生活実態調査」で、韓国国内青年(19~34歳)の月平均賃金は252万ウォンだった。賃金の40.0%を住居費として払わなければならない状況となっている。
チェ・ドンス記者 キム・ヒョンミン記者 firefly@donga.com