10年以上姿を見せなかった「ゴルフ天才」のフィールド復帰にゴルフ界が動揺している。プロ選手としてプレーした長くない期間にも誰よりも強烈な印象を残した在米韓国人ゴルファーのアンソニー・キム(キム・ハジン、39)が主人公だ。
LIVゴルフ・コミッショナーのグレッグ・ノーマン氏(豪州)は27日、ソーシャルメディア(SNS)にアンソニー・キムのシルエットとともにスイングする動画を投稿し、彼のフィールド復帰を知らせた。ノーマン氏は「LIVゴルフのコミッショナーとして、これだけ才能に満ち溢れるスターに生まれ変わる機会を与えることができることを光栄に思う」とし、「LIVゴルフの家族になったことを歓迎する。ゴルフ界は長い間あなたを待っていた」というつづった。
アンソニー・キムの復帰説は最近、米国のゴルフ専門メディアを通じて絶えず流れてきた。アンソニー・キムが3月1日から3日間、サウジアラビアのジェッダで開かれるLIVゴルフ大会に出場することにしたという。フィールド復帰についてアンソニー・キム側はまだ公式立場を表明していない。
アンソニー・キムは2006年、米男子ツアー(PGA)に彗星のごとく現れた。同年、招待選手として参加したバレロ・テキサス・オープンで2位タイを記録し、名を馳せた。2008年6月、ワコビア選手権でPGAツアー初勝利を果たし、1ヵ月後のAT&Tペブルビーチ・ナショナルプロアマでも優勝トロフィーを掲げた。2010年4月、シェル・ヒューストン・オープンではツアー3勝目を飾った。25歳になる前にPGAツアーで3勝を収めた選手は、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ(以上米国)、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、アダム・スコット(豪州)に続いてアンソニー・キムが5人目だった。
アンソニー・キムはガッツあふれるプレースタイルとパフォーマンスで「ゴルフ皇帝」ウッズに匹敵するほどの選手と評価されたこともある。2010年にメジャー戦のマスターズ2日目に、ツアー史上1ラウンドあたりの最多バーディーとなる11バーディーを奪ったが、この記録はいまだに破られていない。そのアンソニー・キムが2012年にアキレス腱の手術を受けた後、ゴルフ界から突然姿を消した。27歳の時だった。アンソニー・キムは2015年、AP通信とのインタビューで「引退後、回旋筋腱板、腰、手などに6、7回手術を受けた」と公開した。
負傷の余波で受け取った保険金1000万~2000万ドル(約133億~266億ウォン)のためにフィールド復帰は困難という見方も報道もあった。選手として復帰する場合、この保険金を返さなければならないからだという。アンソニー・キムの復帰がサウジアラビアの政府系ファンド(PIF)が支援するLIVゴルフであるから可能だという説明も同じ脈絡だ。LIV側から莫大な契約金を受け取った可能性があり、大会賞金規模も大きいからだ。来月1日からジェッダで開かれるLIVゴルフ大会の賞金総額は2500万ドル(約333億ウォン)で個人戦の優勝賞金は400万ドル(約53億ウォン)だ。29日から米フロリダ州パームビーチガーデンズのPGAナショナルリゾート・チャンピオンズコース(パー71)ではPGAツアーのコグニザント・クラシックが開かれるが、賞金総額は900万ドル、優勝賞金は162万ドルだ。
李憲宰 uni@donga.com