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教授も施設もなく「観光実習」、2000人増員の条件は整ったか

教授も施設もなく「観光実習」、2000人増員の条件は整ったか

Posted March. 19, 2024 08:47,   

Updated March. 19, 2024 08:47

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東亜(トンア)日報が14日と15日現在、入学定員の2倍以上の増員を申請した忠北(チュンブク)大学と釜山(プサン)大学医学部を直接訪ねたところ、「医学部教育の質が低下するだろう」という現場の懸念が大きかった。実習用遺体の確保が容易ではないため、肩越しに見物する「観光実習」をしたり、診療を参観したりする学生数を無制限に増やすことができず、その機会が制限される可能性があるという。医学部の入学定員は来年から増えるが、短期間で教授と実習施設などのインフラを拡充することは事実上不可能だからだ。

政府は、医学部の入学定員2000人の増員分を、忠北大学や釜山大学のような地域拠点の国立大学と入学定員が50人未満のミニ医学部に割り当てることにした。そして、来年の入学生が本科に入る2027年までに拠点国立大学教授を今より1000人増やし、国立大学病院に対する投資を拡大すると発表した。しかし、今も求人難に苦しんでいる国立大学医学部の教授を短期間で1000人も拡充できるのか、予算も確保されていない状況で、年内に施設投資が可能なのか、教育現場では信頼できないという反応だ。

にもかかわらず、政府は2000人が増えた医学部の入学定員5058人の医学部別割り当てを、20日に終えるという。学生から先に選抜して教育インフラを整えるということだが、中途半端な政策が生む副作用を懸念せざるを得ない。医学部教育の質が担保されなければ、医学部増員の本質である必須-地域医療の正常化も達成しにくい。医学部増員分の80%が地域に割り当てられる。医師養成の過程が不十分なら、地域医療に対する不信を増大させ、首都圏への偏り現象も解消は難しいだろう。

医学部増員で触発された専攻医の集団辞職事態は、今日で1ヵ月になった。これまでに専攻医や医学生、教授が順番に病院を離れる集団行動に参加している。政府は、「2000人から退くことはできない」という態度を固守する。政府は、医学部増員の「釘打ち」で留年の危機に直面している医学生や行政処分を控えた専攻医の早期復帰を期待するというが、退路が閉ざされた医療界の激しい反発を招く可能性が高い。これは政府も、医師も、患者もすべて負ける道だ。医療空白事態が長期化すればするほど、患者の被害は手の施しようもなく増えるだろう。政府は、医学部教育現場の合理的な声を収集し、医学部の増員規模と速度調整に対して開かれた姿勢を見せなければならない。医療界も、これからは増員撤回だけを主張するのではなく、合理的な増員規模、必須-地域医療を生かす代案を提示しなければならない。