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石炭積んでロシアに向かっていた拿捕船、2月には北朝鮮貨物を中国に

石炭積んでロシアに向かっていた拿捕船、2月には北朝鮮貨物を中国に

Posted April. 05, 2024 08:48,   

Updated April. 05, 2024 08:48

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政府当局が拿捕して抑留中の3千トン級バルク船(DEYI号)が、2月には北朝鮮で貨物を積んだ後、中国に運搬したことが分かった。韓国政府は、北朝鮮の南浦(ナムポ)港で無煙炭を積んだ後、ロシアに向かっていたこの船舶を米国の要請を受けて先月末に拿捕した。これに先立ち、この船舶が中国にも北朝鮮の石炭などを輸出したことが今回確認された。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議は、北朝鮮の石炭輸出などを厳しく制限している。

4日の東亜(トンア)日報の取材を総合すると、韓米当局は、DEYI号が政府に摘発される約1ヵ月前の2月に船舶自動識別装置(AIS)をオフにして北朝鮮付近で貨物を積み込み、これを中国で荷揚げしたと見ている。政府消息筋は、「この船舶が対北朝鮮制裁を違反したと韓米が判断した主な状況」と明らかにした。この船舶は、南浦港など北朝鮮の港に入港したり、近隣の海上で積み替える方式で石炭などを運んだとみられる。最近、北朝鮮と中国の近海では、違法な積み替え活動と疑われる船舶が多数出現したという。

DEYI号が今年1月に中国山東省の威海港を出港し、釜山(プサン)港に入港したことも確認された。DEYI号は当時、韓国港湾当局に目的地をウラジオストクと届けたが、釜山港を出港した後、AISをオフにして姿をくらました。これを含め、この船舶がAISをオンにして公開運航記録を残したのはこの1年間で2件にすぎない。そのため、韓米当局はDEYI号がAISをオフにして長期間、対北朝鮮制裁違反活動を続けてきたと推定している。

DEYI号は香港所在の会社が所有する船舶と把握された。「アジア太平洋地域港湾局統制委員会安全検査資料」などによると、この船舶は「香港ウィリム海運有限公司」が所有主と表記されている。ただし、2022年2月に設立された同社は、香港市内のショッピングセンターの建物に住所を登記している。業種や電話番号などは一切公表していない。

DEYI号は06年2月から22年8月まで約16年、中国国旗を掲げて航海していたが、昨年5月からトーゴ国旗に変えて運航していたことが分かった。現在はトーゴ国旗の期限も切れて無国籍だ。

船社が香港にあるにもかかわらず、このように国旗を別の場所に変えたのは、「便宜置籍(船舶を自国ではなく第3国に登録する)」制度を活用するためとみられる。船舶に対する管轄・管理の責任は、船舶が掲げている旗、つまり旗国にあるという原則がある。そのため、旗を変えれば、公海上で問題が発生しても、この原則のために国際社会の積極的な制裁が難しくなる可能性がある。一部ではこれをめぐって、「国連安保理の対北朝鮮制裁を回避することが狙い」という批判もある。

北朝鮮が違法な石炭輸出のために香港に幽霊会社を設立し、船舶を運航した可能性も否定できない。18年に国連の対北朝鮮制裁対象に指定された北朝鮮の船舶「長安号」も、香港に設立された「長安海運技術有限公司」の所有だった。


申圭鎭 newjin@donga.com