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原油価格130ドルの見方も、インフレと原油価格高騰で世界経済「二重ショック」を警戒

原油価格130ドルの見方も、インフレと原油価格高騰で世界経済「二重ショック」を警戒

Posted April. 15, 2024 08:50,   

Updated April. 15, 2024 08:50

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イランによるイスラエル初の本土攻撃により、中東戦争の拡大が避けられなくなったことにより、すでに非常事態になっているインフレに原油価格の高騰まで加わる「二重ショック」の懸念が大きくなっている。

しばらく落ち着いていた米連邦準備制度(FRB)の「高金利の長期化(Higher for Longer)」の恐怖が再び頭をもたげており、原油価格の高騰と地政学的不安は世界経済を軟着陸ではなく、「スタグフレーション」という全く異なる方向に押し入れかねない。スタグフレーションとは、物価は高騰するのに経済は低迷する状態をいう。イランのイスラエル攻撃が差し迫っているというニュースが出た12日(現地時間)、米シカゴ連邦準備銀行(連銀)のオースタン・グールズビー総裁はフォックスニュースとのインタビューで、中東での戦争拡大は「連邦準備制度にワイルドカードになるだろう」と懸念した。

韓国政府も14日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領主宰の緊急経済・安保会議と崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官主宰の対外経済点検会議をそれぞれ開き、国内経済に及ぼす影響について点検した。

●原油価格は「最悪のシナリオ」に突き進むか

昨年10月7日、イランから支援を受けるパレスチナ武装勢力ハマスがイスラエルを攻撃し、戦争が勃発した直後、国際原油価格は1バレル当たり90ドルを超えた。だが、イランの直接参戦ではない「代理戦」の形が続くと、今年1月初めに70ドル台にまで落ちた。

13日と14日、イランのイスラエル本土攻撃とホルムズ海峡でのイスラエル関連船舶の拿捕により、状況が変わった。戦略国際問題研究所(CSIS)のベン・カヒル・シニアフェローらは、最近の報告書で、「イスラエルとイランの直接的対立は、ホルムズ海峡の物流量の流れを妨害する恐れがある」とし、「(フーティ反軍が攻撃した)紅海と違って、ホルムズ海峡は代替航路がおらず、原油価格に及ぼす影響は大きいだろう」と見通した。1バレル当たり100ドルは優に超えるだろうとも予想した。

米エネルギー情報局(EIA)によると、主要石油輸送路であるホルムズ海峡は、1日平均2100万バレルの石油が通過する。これは世界中の石油生産量の約21%の水準だ。

すでにロンドンICE先物取引所で、ブレント油根源物の価格はイスラエルのシリア内イラン領事館への攻撃が伝えられた今月1日、1バレル当り87ドル台まで跳ね上がり、12日イランのイスラエル本土攻撃が差し迫ったという報道が出るや、取引中に1バレル=92.18ドルまで高騰した。同日、ニューヨーク商業取引所で、5月引き渡し分のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)価格も、取引中一時1バレル当たり87.67ドルまで上昇した。

最悪のシナリオは、イスラエルの再報復により、事実上中東全域に戦場が拡大する「第5次中東戦争」が勃発することだ。イランがホルムズ海峡封鎖に乗り出すと、1973年の第4次中東戦争が第1次石油危機と10年以上の世界経済の長期低迷をもたらしたように、世界の原油サプライチェーンに大混乱が生じかねない。これに先立って、世界銀行は、「第4次中東戦争の時のように、石油禁輸措置がなされれば、原油価格は1バレル当り140~157ドルまで高騰するだろう」と見込んだ。

●「韓国経済はウォン安ドル高と原油高・物流危機まで」

50年前と違う点は、米国が主要原油生産国に浮上したことだ。これに対し、最悪のシナリオが現実化しないとしても、各国がインフレとの戦いの終わりにあることが経済に負担として働く可能性がある。連準の6月の金利引き下げは水の泡になったと市場が見込んでいる状況で、中東戦争の拡大により引き下げの時期がさらに引き延ばされる可能性がある。

グローバル金融市場の変動性も高まっている。安全資産を好む現象が強まり、ドル高が当分続くことになれば、対ドルウォン相場は1ドル=1400ウォン台を超えるだろうという予測が提起されている。

13日、ブルームバーグによると、前日午後3時55分基準で、ドルに対する主要31ヵ国の通貨の変化を意味するスポット収益率を比較した結果、ウォンは先月29日比2.04%ウォン安が進み、下落幅が最も大きかった。円安は1.26%にとどまり、現在戦争中のロシアルーブル(マインス1.69%)やイスラエルのシェケル(マイナス1.54%)の下落幅もウォンに比べて小さかった。

ドル高や原油高が物価を引き上げる状況で、韓国国内輸出企業の物流・運送まで支障をきたすことになれば、今年の経済成長率は再び1%台に下がりかねないという懸念が出ている。資本市場研究院のファン・セウン研究委員は、「唯一の支えである輸出が揺れれば、今年の経済成長率まで打撃を受けることになる」と話した。


金玹秀 kimhs@donga.com