「お寺ではなく、幼稚園を建てたからです」
21日、仁川市江華郡(インチョンシ・カンファグン)の法王寺(ポワンサ)で会ったケソン僧侶は、「寺になぜ大雄殿がないのか」という質問に対し、このように話した。法王寺は、一般寺院にある大雄殿のような殿閣が別になく、幼稚園と保育園の建物のみあるユニークな寺院だ。入口に法王寺とは書かれているが、寺と関連した施設は幼稚園の建物の3階にある法堂が全てだ。ケソン僧侶は、「お寺を建てて幼稚園を作ったのではなく、幼稚園の建物を先に建てた」と話した。
普段から子どもたちが好きだった彼は、仏教に対するイメージ改善と布教などのために1991年、ここに象の幼稚園を設立した。半地下を含む1階建てで始めた時は法堂さえなかったが、以後増築を通じて3階に法堂を用意した。「法堂の役割もしますが、ほとんどの時間は子供たちがテコンドーも学び、走り回る体育館として使います。子供たちが明るく遊び回る姿が、仏様を見るにはもっといいのではないでしょうか。ハハハ」
氏は、「宗教施設で建てた幼稚園だが、絶対に宗教を強要することも、教えることもない」と話した。クリスマスの時はクリスマスの意味と由来、サンタさんに関する話を子供たちに話すように、釈迦誕生日にその意味と由来を数時間説明すること以外は、一般幼稚園と教育課程は同じだという。一方、授業料は教育費やおやつ費、教材費などをすべて含めて月平均5万ウォン程度しか払わないほど安い。収益を残すつもりも、必要もないため、国と地方自治体からの支援、施主などで十分だという。
もちろん、厳しい時間がなかったわけではない。氏は、「最初は、学校と後輩の僧侶たちに後援金を与えることができず、数年間大学同窓会(東国大僧伽学科)にも出られなかった」と話した。お布施だけでなく、私費まで幼稚園にすべてつぎ込んだためだ。設立当初は、周辺に適当な宿泊施設がなく、遠いところに住む教師と職員のための寮まで用意した。このような情熱が周辺に知られ、子供を預ける親が増え、このため、2004年は幼稚園の隣に幼児専用保育所(象保育所)までオープンした。「よく面倒を見る」「信頼できる」という口コミが広がり、江華郡で運営が難しくなった近隣の他の保育園まで委託し、今はソウルと仁川地域の幼稚園や保育園の関係者たちが見学に来るほどだ。現在、3つの幼稚園や保育所の200人あまりの子どもたちを、50人あまりの教師や補助教師、職員らが世話をしている。
30年が過ぎたため、大人になった子供たちが再び自分の子供を送る一方、幼稚園教師になって帰ってきた子供たちもいる。このような理由から、少子化の影響で江華地域はもちろん、多くの都市の幼稚園や保育園も園児募集は容易ではないが、象の幼稚園は抽選で入学しなければならないほど人気を集めている。保育園も、1年前に待機リストに入れておいても、入るのが容易ではないという。
ケソン僧侶は、「楽しく遊ぶ子供たちを見ていれば、幸せ極まりない」とし、「子供たちをよく教えて育てることほど、仏様の道を歩くことがほかにあるだろうか」と話した。
李鎭求 sys1201@donga.com