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汚物風船にGPS妨害まで…北朝鮮の「グレーゾーン挑発」に万全の備えを

汚物風船にGPS妨害まで…北朝鮮の「グレーゾーン挑発」に万全の備えを

Posted May. 31, 2024 09:01,   

Updated May. 31, 2024 09:01

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北朝鮮が昨日、順安(スンアン)一帯から東海(トンヘ)側に向けて、超大型放射砲と推定される短距離弾道ミサイル(SRBM)約10発を発射した。これは一度に発射された弾道ミサイルとしては過去最大数だ。射程350キロのミサイルは、韓国の大都市や主要空軍基地を打撃できる。北朝鮮はまた、西北島しょ一帯に全地球測位システム (GPS)の電波を妨害する攻撃も行った。これに先立ち、北朝鮮は肥料とゴミが入った「汚物風船」約260個を韓国側に向けて飛ばすと同時に、GPS妨害電波も発信した。相次ぐGPS妨害により、仁川(インチョン)海上を行き来する漁船や旅客船の航海装置が誤作動を起こした。

「汚物風船」に続くSRBMの大量発射、GPS妨害攻撃まで、北朝鮮の一連の挑発は、事前に緻密に組まれた計画によるかのように着々と進んでいる。北朝鮮は、韓日中3ヵ国の首脳会談がソウルで開かれた日に合わせて軍事偵察衛星を発射したが、ロケットが空中で爆発し、失敗に終わった。4年半ぶりに開かれる韓日中首脳会談を妨害し、最新軍事力を誇示しようとした野心的な計画が水の泡となると、その直後から連続挑発に集中するようになった。

実際、北朝鮮は偵察衛星の打ち上げ前日の26日、国防次官名義の声明で、「韓米の空中偵察や海上機動巡察、脱北民団体の対北朝鮮ビラ散布を黙って見ているわけにはいかない」とし、攻勢的な対応を予告していた。声明は「大量のゴミと汚物がまもなく韓国国境と中心地域に撒かれるだろう」と警告し、「水上でも水中でも自衛力を行使することが、いつでもありうる」とも恫喝した。韓国軍としては、より致命的な海上挑発の可能性も警戒しなければならない状況にある。

このような挑発は、韓国社会内部に不安と混乱を煽ることを目的とした高度な政治的心理戦でもある。特に北朝鮮は、汚物風船といった正常な国家の行為とは到底考えられない汚い挑発まで行った。このような低レベルの行為で、その汚物が有事の際には、細菌のような生物兵器に変わる恐れがあるという恐怖感を助長し、対北朝鮮ビラ散布に反対する世論を刺激する一方、GPSを妨害することで、日常のマヒに対する不安まで煽っている。

北朝鮮はこのように実際の武力行使や戦争には至らない曖昧な水準の中・低強度の挑発、すなわち「グレーゾーン作戦」を通じて韓国の対応の変化を誘導する強圧戦術を駆使している。これまで集中していたミサイル武力示威を越え、その手段と範囲もさらに広げている。このような汚くて巧妙なゲームに対抗し、政府と軍は周到に備えなければならない。特に、過剰対応や内部混乱のような北朝鮮の狙いに巻き込まれないよう、冷静沈着な対処が求められる。