Go to contents

天安艦の帽子をかぶった大統領と「VIP激怒説」の大統領

天安艦の帽子をかぶった大統領と「VIP激怒説」の大統領

Posted June. 06, 2024 09:08,   

Updated June. 06, 2024 09:08

한국어

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は散歩の際、「ROC NAVY/PCC-772」と書かれた天安(チョナン)艦の帽子をかぶることが多かった。2021年6月の大統領選挙への出馬表明前の瑞草(ソチョ)洞で、当選後はフランス∙パリ、リトアニアのヴィリニュス、英国ロンドンの外遊地でこの天安艦帽子をかぶっていた。昨年の夏休みにも、天安艦帽子とTシャツ姿で鎮海(チンヘ)海軍基地で兵士たちを激励した。

国家功労者に対する礼遇を高め、軍人や警察など国のために身を捧げる制服公務員のための礼遇強化は、尹大統領が一貫して強調してきた現政権のアイデンティティだ。尹大統領は昨年、政権を握る政党によって浮き沈みの激しかった国家報勲処を国家報勲部に格上げした。尹大統領は大統領選挙公約である「軍人月給200万ウォン」を守るために実際に軍人の給与を大幅に引き上げた。昨年の顕忠日(メモリアルデー)には「国の安危と国民の安全を守るために自身のすべてを捧げた軍人、警察、消防士など制服を着る英雄たちを最後まで記憶し、礼遇することは国家の責務」と強調した。当選前も当選後も変わらない一貫した大統領の姿と評価された。

ところが、最近は天安艦の帽子をかぶって報勲を強調していた尹大統領の姿が弱まったようだ。尹大統領が拒否権を行使した「海兵隊員特検法」と、尹大統領をめぐるいわゆる「VIP激怒説」が浮き彫りになり、制服公務員を礼遇する尹大統領のPI(President Identity)が相対的に弱まっているようだ。

海兵隊員のチェ上等兵は昨年7月19日、大雨の被害を受けた慶尚北道醴泉郡(キョンサンプクト・イェチョングン)の復興支援活動中に残念ながら殉職した。当時、尹大統領は国家功労者として最大限の敬意を払うよう指示した。事件を捜査した元海兵隊捜査団長(大佐)のパク・ジョンフン氏は、捜査への外部圧力を主張している。

捜査への外部圧力論争の核心となっている尹大統領と李鍾燮(イ・ジョンソプ)前国防部長官の通話日は昨年8月2日と8日。尹大統領は夏休み中で、参謀らに「(事実上の)ジャンボリー休暇だ」と空しく笑ったという。セマングム世界スカウトジャンボリーが準備不足やずさんな運営で批判を受け、尹大統領は軍と警察の支援を受けてでも事態を収拾するよう指示した。尹大統領は、休暇先の楮島(チョド)からソウルに戻る途中、ジャンボリー会場をもう一度訪れようとしたが、熱が39度まで上がったため、結局取りやめたという。これに対し参謀らは尹大統領と李前長官の電話について「軍のジャンボリー支援通話」とも言った。

大統領室は「捜査ガイドラインを与えるという誤解を招く恐れがある」と口を閉ざしている。その間にも、様々な報道が出て疑惑はさらに高まった。これに苛立ちを感じた与党の高官は「法律専門家ではないパク大佐が捜査権限もなしに捜査外圧を言うのは話にならない」とし、「そもそもパク大佐が被疑者を誰にしても警察に帰属効果もない」と話した。別の与党関係者は「むしろ師団長から全員処罰する方が大統領としてはもっと簡単だっただろう」と話した。実際に刑事責任を負う者が責任を取るべきだという元法律家としての尹大統領の判断には一貫性があった。

高位公職者犯罪捜査処の捜査結果が出れば、尹大統領が直接国民に説明しなければならない。パク大佐の調査内容に対する当時の尹大統領の判断、李前長官との電話内容を国民の前で率直に話し、理解を求めるのが制服公務員を最後まで記憶し礼遇する尹大統領の本来の姿だろう。