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「殺人的な暑さ」はもはや比喩的な表現ではない

「殺人的な暑さ」はもはや比喩的な表現ではない

Posted June. 08, 2024 09:04,   

Updated June. 08, 2024 09:04

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「今年最初の猛暑『イノシシ』が発令されました。学校や屋外の事業所は閉鎖します。高齢者は外出を控えてください」

数年後には、このようなニュースを毎年何度か耳にするようになるかもしれない。著者の主張はそうだ。昨年、地球は19世紀末より1.48度暑く、6月から12月までは観測史上最も暑い月が続いた。台風のように異常高温に名前をつけることで、人類の未来を左右するこの巨大な環境問題への関心を高めることができるということだ。

気象学者として2019年の著書『The Water Will Come』で海面上昇を警告した著者は、今回の本で原題『The Heat Will Kill You First』が示すように、気温上昇がもたらす直接的な危険を警告する。「今は力なく貧しい人が先に暑さで死ぬが、今後はより多くの人が平等に熱波の被害を受けるだろう」。

2019年、世界で暑さで死亡した人は48万人で、この数字は今後さらに増えるだろう。2003年にフランスを襲った猛暑で1万5千人が死亡し、パリ中心部だけで1千人が命を落とした。

エアコンは20世紀の人類の分布を変えた。人が住めなかった暑い土地に新しい都市ができた。しかし、エアコンは室内から屋外に熱の位置を変えるだけで、エアコンが多く稼働すればするほど、都市はさらに暑くなる。猛暑で停電が起きれば、一都市で数千人単位で命を失う可能性がある。

木を植えたからといって、温室効果ガスの吸収量が目に見えて増えるわけではない。すでに世界には3兆本もの木があるからだ。それでも都市の気温を下げることはできる。米ポートランド市の貧民街で測定された気温が51度を超えた時、周辺の富裕層住宅地の気温は14度近く低くかった。庭に生い茂る木々が熱を吸収したのだ。建物に庭を造成する「グリーンループ」運動も役に立つ。

気温上昇による大絶滅は進行中だ。暑さは植物の開花時期を変える。花を咲かせたのに、花粉を運んでくれる昆虫が来ないこともある。これは食糧問題につながる。パンデミックも心配だ。2019年の新型コロナウイルス感染症は、普段出会うことのない動物が中国・武漢の市場で出会ったことから始まったと著者は指摘する。過去10年間、科学者が調査した動物種の半数近くが、気候変動によって分布地を変えたという。陸上の動物は10年ごとに20キロずつ移動し、海洋動物の場合、移動はさらに速い。初めて出会う動物同士が大災害のきっかけになる可能性がある。

著者は地球温暖化(Gloval Warming)という用語から変えようと提案する。ホット(hot)という言葉は、セクシーで魅力的という観念と結びついている。地球は暖かくなるのではなく、住みにくいほど熱くなるのだ。もしかしたら、画期的な解決策が見つかるかもしれない。大気中に硫黄を噴霧すると、微粒子が太陽光を反射して気温が下がる。しかし、降水パターンが変わるなど、思いもよらないより深刻な問題を引き起こす可能性もある。

現実的な方法は、化石燃料を燃やさないこと、少なくとも減らしていくことだ。しかし、人類は準備ができているのだろうか。「地球温暖化はフィクション」と主張する人が、世界最強大国の次期リーダーの有力候補だ。まず筆者からしても、エアコンや自家用車、旅客機を利用した海外旅行をあきらめることができるかどうか、考えが複雑になる。まだ、「痛い目」を見ていないのだろうか。


ユ・ユンジョン文化専門記者 gustav@donga.com