政府と最大野党「国民の力」が空売り禁止措置を来年3月末まで延長することを決めた。外国人と機関投資家だけに有利な空売り制度を修正し、違法な空売りを阻止する電算システムを構築するまで、引き続き空売りを禁止するということだ。このままでは、昨年11月に始まった空売り禁止措置が来年最短1年4ヵ月間続くことになる。
空売りは、株価下落を期待して株を借りて売った後、後で株価が下がったら安く買い戻して利益を出す投資手法だ。グローバル金融危機などが発生した時、先進国も空売りを一時的に禁止したことがある。しかし、韓国のような経済規模世界10位圏の国が危機的な状況でもないのに、1年以上禁止するのは前例がない。政府与党は昨年、一部の外国系投資銀行の違法空売りが摘発されたことを機に、8ヵ月間空売りを全面禁止した。
しかし、過度に膨らんだ株のバブルを取り除き、適正価格を見つけるなど、空売りは純機能が少なくない。政府が持続的に推進してきたMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数への編入の主な条件である理由だ。MSCIは先週、韓国株式市場の「空売りアクセス性」の成績をプラスからマイナスに変えた。このまま禁止を続ければ、指数への編入が難しいというシグナルを送ったことになる。指数への編入で期待されていた数十兆ウォンの外国人資金の流入も空念仏となった。
このようなことが起きたのは、政府与党が1400万人の個人投資家を意識して空売りを政治問題にしたからだ。先月末には、金融監督院長が「6月中に空売りの一部再開」を言及したが、大統領室が「金融監督院長の個人的な希望にすぎない」と否定するハプニングまで起きた。これに先立ち、1月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「確実な副作用遮断措置が講じられなければ再開する意思は全くない」と述べたが、株式市場では4月10日の総選挙を念頭に置いた発言と解釈された。
現在、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、空売りを禁止した国は韓国とトルコだけだ。主要国の株式市場が連日過去最高記録を更新する中、低迷している韓国株式市場の成績に空売り禁止も影響を及ぼしたと見なければならない。個人投資家に不利な制度や違法を監視するシステムの整備は必要だ。しかし、政府与党が投資家の顔色を伺いながら空売り禁止を延長し続けるのは、韓国株式市場の「バリューアップ」や、個人投資家の資産増加には役立たない。