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金妍兒の銀メダル、ボナリーのバックフリップ

金妍兒の銀メダル、ボナリーのバックフリップ

Posted June. 21, 2024 08:37,   

Updated June. 21, 2024 08:37

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「技術の完成度が低いと審査委員団が評価したのだから」

「フィギュア女王」金妍兒(キム・ヨナ)が2014ソチ冬季五輪の時、フィギュアスケート女子シングル銀メダルに止まった理由は、このように整理できる。当時、金メダルを取った開催国ロシア代表のアデリナ・ソトニコワより金妍兒の技術完成度が本当に低かったかは重要ではない。審査委員たちがそう評価したことが重要だ。

技術の完成度が議論になったのは、芸術的な面では金妍兒が圧倒的と言えるほど優位にあったからだ。当時、米NBCなど海外メディアも「ソトニコワが技術的に優れていたとしても、それだけで金妍兒の芸術性に勝てるというのは納得できない」と審査に疑問を示した。

「芸術性に欠けると審査委員団が判断したのだから」

女子選手としては初めて公式試合で4回転ジャンプを跳んだスルア・ボナリー(フランス)が1993~1995世界選手権で3大会連続で銀メダルに止まった理由は、この一言で要約できる。フィギュアで珍しい黒人選手のボナリーは、「私の肌の色さえ違っていたらメダルの色も変わっていただろう」と話した。ボナリーはもともと体操をしていたので、他のフィギュア選手より大きな筋肉がよく鍛えられている。

ボナリーは、自分の最後の五輪だった1998長野大会を控え、足首まで怪我をした。そのため、4回転どころか3回転ジャンプもまともに消化できなかった。プログラムの構成上、フリースケートの最後のジャンプは「トリプルルッツ」だったが、ボナリーは空中で後方に360度宙返りする「バックフリップ」を入れて成功させた。

バックフリップは国際スケート連盟(ISU)が1976年から禁止していた技術だ。成功しても2点減点だった。ショートプログラムの時に6位だったボナリーは、結局10位で大会を終えた。ボナリーは「『今度は審査委員たちの気に入るだろうか?』という不安から自由になりたかった」とし、「競技場にいるすべての人が起立して拍手を送ってくれた。もちろん審査委員は除いてだ」と笑った。そして引退を宣言した。

どの選手の演技がより芸術的なのかは主観的に判断するしかない。よく「芸術点」と呼ばれる演技構成点(PCS)に議論が付きまとう理由でもある。技術の完成度を評価する出来栄え点(GOE)もやはり審判の裁量によって結果がいくらでも変わってくる。

問題は、ISUが過度に保守的であるということにあった。女子シングルの審査基準が「典型的な女性美」というのは知られている話。テリー・クビカ(米国)が1976インスブルック五輪男子シングルでバックフリップを初めて跳ぶと、ISUは「ショー舞台に似合そうな技」としてこれを禁止させた。欧州出身が多数の審査委員の目に「優雅に」見えなければ皆排斥したのだ。

ISUは14日(現地時間)に開かれた今年の総会で、ようやく「フィギュアを大衆化し現代化する必要がある」として、バックフリップのような宙返りを禁止技術リストから除外した。ISU設立130年ぶりに初めて非欧州出身の会長が就任した後に起きた変化だ。今後フィギュアがさらに開かれた、それでボナリーのような「非主流」にとってもより公正な種目になることを期待する。