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「キング・ドル」と「超円安」の挟み撃ちに不安な韓国経済

「キング・ドル」と「超円安」の挟み撃ちに不安な韓国経済

Posted June. 29, 2024 08:29,   

Updated June. 29, 2024 08:29

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急激な円安が続き、昨日、対ドル円相場は3日連続で1ドル=160円を突破した。1986年12月以降、37年半ぶりに最大の円安ドル高となる。「ドル高」の独走に1ドル=1400ウォンを脅かしたウォン相場は、昨日、1ドル=1370ウォン台にウォン高ドル安が進むなど、大きく乱高下している。「キング・ドル」と「超円安」の挟み撃ちの中、韓国経済と金融市場は危険な霧の中を歩いている。

対ドル円相場が「心理的マジノ線」である1ドル=160円を超えたのは、4月以降2ヶ月ぶりのことだ。日本当局は9兆7000億円分のドルを供給するなど、外国為替市場への積極的な介入に乗り出したが、2ヵ月間で水の泡となったのだ。米国が高い成長傾向を続け、利下げの可能性が薄くなった影響が大きかった。市場の一部からは、1ドル=170円まで円安が進むだろうという観測も出ている。

円安が長期化するのは、韓国経済としては喜ばしくない。日本の輸出企業の価格競争力が高まり、韓国の輸出に悪影響を与えかねないからだ。特に日本との輸出競争が激しい自動車・鉄鋼などが、打撃を受ける可能性がある。日本観光の増加で、旅行収支の赤字もさらに大きくなりかねない。

最近になって、円とウォンの同調化の動きが強まっていることから、円安はウォン安につながりかねない。ウォン安ドル高は輸出企業には好材料と思われていたが、今は日本など競争国の通貨安が同時に進んでおり、恩恵を受けることができない。かえって輸入物価の上昇で、韓国国内の消費者物価が上がり、企業のコスト負担が大きくなる副作用の方が大きい。最近、輸出は回復傾向を見せているが、ウォン安ドル高のため内需回復につながらず、韓国経済の足を引っ張る恐れがあるという懸念が強い。

何よりも心配なのは、金融市場の変動性が大きくなっていることだ。日本当局が円安の防御のために海外資産を売却すれば、米国債金利が跳ね上がるなど、金融市場の不安が拡大する可能性がある。米国と欧州の政治的不確実性と地政学的リスクなど、不安要因も多い。このような状況で、最近政府と与党の一部から、韓国銀行に向けて利下げを圧迫するのは、為替不安を煽りかねないため適切ではない。今は超円安の副作用を最小限に抑え、為替相場の安定に政策力量を優先的に投入しなければならない時だ。