バイデン米大統領(81)が大統領選テレビ討論会で精彩を欠き、民主党内部で大統領選出馬辞退を求める声が強まっている。バイデン氏は週末の遊説を強行し、出馬辞退の可能性を否定した。しかし、出馬宣言など主要な政治的決定のたびに「ゲートキーパー」の役割を果たしてきたジル夫人(73)が決定の鍵を握っていると指摘されている。
米NBCニュースは、複数の消息筋を引用して、「バイデン氏が30日(現地時間)、大統領山荘キャンプデービッドで家族と再選挑戦について話し合うだろう」と報じた。バイデン氏が、先月27日に開かれた第1回大統領選テレビ討論会で、90分の間かすれた声としどろもどろの回答でトランプ前大統領に圧倒された。民主党内外からは候補の「差し替え論」が浮上している中、家族会議を行うということだ。
バイデン氏は2020年の大統領選出馬や昨年の再選挑戦宣言など、主要な政治的契機のたびに家族会議を通じて決定を下したが、これに対し、バイデン政権当局者は「前提が正確でない」と述べ、辞退が協議される可能性に距離を置いた。
バイデン氏は先月29日、ニューヨークで開かれた募金イベントで、傍聴席に座った民主党議員3人を呼んだ後、「逃げ場はない(No way out)」とし、「大統領選で勝利することを約束する」と述べた。また、先月28日のノースカロライナ州での遊説では、「以前ほど討論がうまくできない」と高齢の懸念を認めながらも、「私は真実を伝える方法を知っている」と述べた。テレビ討論会直後、当初予定されていた遊説と選挙資金イベントをすべて強行し、辞退の可能性を否定し、支持層と民主党内外の動揺を鎮めようとしたのだ。
しかし、民主党内では、バイデン氏の選挙辞退を求める動きがさらに具体化している。米政治専門メディア「ポリティコ」は、複数の下院民主党議員を引用し、「ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務とチャック・シューマー上院院内総務が、バイデン氏の選挙辞退に向けて共同の努力を検討しなければならない」と話したと伝えた。
ジル夫人の判断がバイデン氏の辞退決定に重要な役割を果たすという観測が流れている。バイデン氏の支持者であるジョー・モーガン弁護士は、米紙ニューヨーク・タイムズに、「ジル氏の声が最終的で最も重要だ」と話した。高齢の懸念にもかかわらず、バイデン氏の再選挑戦を積極的に支持したジル夫人は先月29日の募金イベントでも、「投票(Vote)」と書かれた服を着て登場し、「ジョーは大統領に適した人であるだけでなく、大統領ができる唯一の人だ」と訴えた。
ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 weappon@donga.com