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ビジョンも刷新もなく「裏切りフレーム」だけが残った与党代表選挙

ビジョンも刷新もなく「裏切りフレーム」だけが残った与党代表選挙

Posted July. 02, 2024 08:59,   

Updated July. 02, 2024 08:59

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7月23日の全党大会を控えている与党「国民の力」の党代表選挙が「裏切りの政治」をめぐり論戦が白熱している。最近の世論調査で、韓東勳(ハン・ドンフン)候補が与党支持層で高い支持率を示すと、羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)、元喜龍(ウォン・ヒリョン)、尹相鉉(ユン・サンヒョン)3候補は、韓氏に対し「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する裏切り」フレームをつけ、挟み撃ちに乗り出した。これに対し韓氏側も「恐韓症ではないか」と積極的に反論し、誹謗合戦は一段と加熱している。党内では、早くも「このまま行けば、過去の親朴系(朴槿恵氏系)と非朴系の戦いみたいに戻れない川を渡るのではないか」と懸念する声も上がっている。

わずか1週間しか経っていない与党の党代表選レースが序盤から「裏切り者」論戦で打ち合いが繰り広げられているのは、何よりも「オデハン(どうせ代表はハン・ドンフン)」気流に対する他候補たちの焦りのためだろう。各種世論調査で韓氏が党代表適合度1位を記録し、一部の調査では与党支持層の過半数が韓氏を好むという結果まで出た。これに対して他の3候補は、韓氏が第3者推薦方式の海兵隊員特別検察官法発議を提案したことを挙げ、「一夜にして裏切り…」(元氏)、「私益のための裏切りなら…」(羅氏)、「『絶尹(尹大統領との縁を切る)』になった裏切りの政治は…」(尹氏)などと一斉に攻勢に出た。これに対して韓氏側も「誰が本当に裏切り者なのか」として他候補の「過去」に触れている。

そんな幼稚な争いは、目の前に迫った危機にもかかわらず、頭だけ砂の中に突っ込んでいるダチョウのような情けない姿だ。政権与党として史上最悪の総選挙惨敗を喫したものの、今の与党で変わったことは何もない。非常対策委員長として、党の重鎮として皆が選挙敗北の責任が大きいにもかかわらず、反省どころか尹大統領と親尹勢力の顔色をうかがうことに汲々とし、他人のせいにすることに忙しい。そのため、「国民の力」が党大会を越えて党の再建のために成し遂げなければならない保守革新のビジョンや健全な政府与党関係、ひいては政権再創出のための刷新対策が出てくることはできない。

このような恥ずかしい選挙戦を見ると、党代表候補の誰もが「与小野大」の現実、それも圧倒的な巨大野党の一方通行に無気力な少数与党の現状をすっかり忘れているようだ。今、与党がしなければならない第一の責務は、まず民心の底流を読み取り、大統領と民心の間隙を埋めて道を開くことだ。にもかかわらず、一様に野党への対抗馬として自身を売り込むだけで、どのように大統領と野党を説得して協治を引き出すかについては、誰も口を利かない。昨日も国会では、内閣と野党が真っ向から衝突するなど激しい対立が続いているが、与党は手をこまねいているだけだった。