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患者団体「専攻医が戻れるよう、政府が答えを出す番」

患者団体「専攻医が戻れるよう、政府が答えを出す番」

Posted July. 02, 2024 09:02,   

Updated July. 02, 2024 09:02

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「水に溺れて叫んでいるのに、みんな腕を組んで見物しているような気がします」(重症患者団体連合会のキム・ソンジュ会長)

「不安を持たせたことについて、本当に申し訳ありません。医師は患者を守ります」(延世大学医学部小児科のウン・ヨンミン教授)

今年2月に専攻医(インターン、レジデント)たちが病院から離れて始まった医療空白が、5ヵ月目に入った。ソウル大学医学部・病院の教授らは無期限の休診を中断したが、一部の大学病院では、「自主的休診」を行っており、患者の不安も依然として残っている。このような状況で何とかして会った医学部教授と患者団体の代表は、「医師の大半が患者のそばを守っているだけに、これからは政府が答えを出さなければならない番だ」と口をそろえた。

先月30日、食道癌ステージ4の患者であるキム会長(62)は、ソウル江南(カンナム)セブランス病院の教授研究棟で、ウン教授(56)に会って、お互いの立場を共有し、医療空白事態の原因と解決策について2時間ほど話し合った。医学部の教授と患者団体の代表が公開の席で1対1で医療空白の解決策について議論したのは、今回の事態が発生してから初めてのことだ。

延世(ヨンセ)大学医学部教授非常対策委員会は、先月27日から無期限休診を宣言したが、ウン教授は、「生命と直結した必須医療科は、患者から絶対に離れることができない」と患者のそばを守っている。キム会長は、「医療現場を守るなら、患者は医師の味方だ」と感謝を表し、「依然として多くの患者が、医療スタッフに対する信頼と尊敬心を持っている。このような感情が残っている時に、事態が解決されることを願う」と話した。

2人は、医学部の2000人増員より重要なのは、崩れる必須医療と地域医療を生かすことだということに同意した。ウン教授は、「問題の始まりは、必須科が依然として1980年代の診療報酬に留まっていることだ」とし、「診療報酬を上げて徹夜して重症患者を生かしても、病院からはなぜ収益を上げられなかったのかと言われる構造を変えなければならない」と強調した。キム会長も、「(2000人という)数字が本質ではなく、必須医療や公共医療をどのようにしていくかが重要だが、具体的なロードマップは一つもない」と政府を批判した。

キム会長とウン教授はまた、医療現場を正常化させるために、政府と専攻医は今からでも対話に乗り出すべきだと促した。キム会長は、「政府と専攻医のいずれも、条件なしで今からでも胸襟を開いて会ってほしい」とし、「患者たちも機会があれば、専攻医に会って話を聞きたい」と話した。ウン教授も、「不合理な状況を改善できなかったことについて、先輩として恥ずかしく申し訳ない」とし、「専攻医の声を政府が聞くことができる交渉テーブルが開かれればと思う」と話した。

「国会聴聞会を見ながら、患者たちはサツマイモを1万個食べたような気分でした。政界に対し、130日間何をしたのか聞きたかったのです」

キム会長は先月26日、国会保健福祉委員会で13時間以上開かれた「医療界の非常状況関連聴聞会」を見て、息苦しかった心情を吐き出した。キム会長は、「与野党議員24人が同じ質問をすると、政府はこれまでやってきた話を繰り返した」とし、「患者の声が排除され、患者ができることがあまりにもないのが残念だった」と述べた。ウン教授も、「医師たちも前に進む話がなく失望した」と同意した。

●「政府の見せかけの対策、効果なし」

2人は政府に対しても、これまで打ち出した医療空白の対策は、現場で大きな効果を上げることができないと口をそろえた。

キム代表は、「保健福祉部では、非常診療体系に異常はないと主張しているが、私たちが感じることとあまりにも違う」とし、「様々な対策を打ち出しているのに、予算やインフラはあらかじめ準備されていなかったようだ。実質的なものではなく、出るたびに私たちは批判的声明を出している」と話した。

ウン教授も、「政府は右往左往している」とし、「成長停滞地域の公衆保健医を呼び寄せているが、そうすると、該当地域の高齢者が病気になった時、誰が薬を処方するのか。傷ついたところを止血しなければならないのに、周りだけを拭くようなものだ」と指摘した。政府が専攻医復帰のために用意した処遇改善対策についても、「研修システムの改善タスクフォース(TF)は作ったが、国家投資とシステムの改善はまだやっていない」と批判した。

●「どうせ死ぬ患者だと言われ衝撃」

キム会長は、ウン教授に対し、医学部教授たちの言動について残念な気持ちを吐露した場面もあった。

キム会長は、「医療空白事態以来、末期がん患者が死亡した時、医学部教授が「死ぬべき患者が死んだ」と言うのを見て衝撃を受けた」とし、「死ぬべき患者が果たしてどこにいるのか。最後まで最善を尽すべきではないか」と声を高めた。また、「かつては、これ以上治療する薬がなくても、抗がん剤を変えたり放射線治療に変えたりした。すると、何人かはさらに1年間を生き、また何人かは人生の意志ができて4~5年も生き延びたが、今はすぐホスピスに行くことを勧められている」と話した。

ウン教授はこれに対し、「その発言を、誰がどんな狙いでしたのか分からないが、十分にそう考えることができる」とし、「私も近い人が癌で闘病中なので、十分どんな気持ちなのかわかる」としてうなずいた。さらに、「最近何曜日なのかも分からないほど、患者を診ている」とし、「教授も人間だから、体力の限界で倒れる人が出てくる。だからといって、持ちこたえるために診療件数を減らせば、患者に被害が及ぶことになる」と残念がった。

●「医師と患者が解決策を一緒に探そう」

二人は、きちんと準備のできていない医学部の増員が、現在の歪曲された医療システムを悪化させる可能性があるということでも意見を共にした。キム会長は、「今も開業医は、非診療報酬で生活するのに追われているので、個人的に数千人増員とかには反対だ」とし、「必須医療にどのように人員を配分するのか、地域にどのようなインフラを作るのかも不確実だ」と指摘した。ウン教授も、「今も小児科医は増えているが、問題は彼らが専攻を生かさずに診療報酬の対象でない美容に行くことだ」とし、「そのような現象が、さらにひどくなる可能性がある」と話した。

また、政府は具体的な代案を出して、専攻医を説得しなければならないと促した。ウン教授は、「政府に望む2つのことは、専攻医と対面して問題の核心を取り出すこと、そして医療を生かすための具体的な案を実務者らと議論することだ」と話した。キム会長も、「専攻医の研修環境の改善は多くの時間と財源が必要なだけに、政府もさらに意志を示し説得しなければならない」と強調した。

2人は今後、このような対話がさらに活性化すれば良いとも話した。ウン教授は、「患者が苦しんでいる方向ではないと思う。(医師と患者が)全体的に手を取り合って、政府に声を上げたい」と述べた。キム会長も、「今日はウン教授に会って、どんな考えを持っているのか聞くことができて良かった」とし、「専攻医に対しては、患者の生命と健康、そして患者と維持しなければならない信頼よりさらに重要なことがあるのか思いを巡らせてほしいと言いたい」と話した。


チョ・ユラ記者 jyr0101@donga.com