Go to contents

議事棒を奪って投票用紙を破り、最低賃金の差別適用がまたも失敗

議事棒を奪って投票用紙を破り、最低賃金の差別適用がまたも失敗

Posted July. 04, 2024 08:47,   

Updated July. 04, 2024 08:47

한국어

最低賃金を業種別に区分して適用する案が、使用者側と労働者側の対立の中、失敗に終わった。労・使・公益委員が9人ずつで構成された最低賃金委員会は一昨日、第7回全員会議を開き、反対15票、賛成11票、無効1票で区分適用案を否決させた。この過程で議論が激しくなって大声が飛び交い、一部の労働者委員は投票を防ぐために最低賃金委員長の議事棒を奪い、投票用紙を破るなど、投票妨害行為を行って議論となった。

同日の会議で使用者委員(経営界)らは、この数年間、急激な最低賃金の引き上げで小規模自営業者の支払い能力が弱まったことを挙げ、飲食店やタクシー運送業、コンビニなどに対して最低賃金の差別適用を要求した。これに対し、労働者委員(労働界)らは、最低賃金制度の趣旨を傷つけ低賃金業種という烙印効果を招きかねないと反対した。3時間にわたる攻防の末、委員長が採決を決めると、全国民主労働組合総連盟(民主労総)推薦の労働者委員らがこれを制止した。5月に政府が新たに委嘱した公益委員の性向が不確実な状況で、採決ができないという理由だった。

国民経済に重要な影響を及ぼす事案を決める法廷審議機構で投票妨害行為が起きたことは、いかなる理由でも容認できない。物理力の行使が採決に影響を与えかねないという疑いを避けられず、採決結果の正当性も毀損された。労使双方の対立が深まり、今後の最低賃金の審議も難航すると懸念される。使用者委員らは、今日予定されていた第8回全員会議に参加しないことにした。

最低賃金差別適用の必要性は、数年前から提起されてきた。業種別の生産性と使用者の支払能力を考慮せず、一括に最低賃金を急激に引き上げた結果、零細自営業者と中小企業は人件費負担で限界状況に追い込まれることになった。農林漁業と飲食・宿泊業は、最低賃金を支給できない事業所の割合が30%を越える。従業員より稼げない事業主が増え、雇用を減らす副作用も現れた。労働界も無条件に反対ばかりするのではなく、現実に合うように最低賃金を柔軟に調整できるように協力する必要がある。

今回を機に、激しい対立が例年行事のように繰り返される最低賃金の決定構造を見直すことも考慮しなければならない。独立委員会や専門家グループが最低賃金を決める大半の先進国とは違って、韓国は利害関係者が集まって消耗的な力比べをする「全国単位の賃金交渉」に変質した。1988年の最低賃金制度施行以来、労使合意で決めたのは7回だけだ。今からでも、マクロ経済の状況と労働市場の変化を分析し、合理的に最低賃金を決定できるよう制度を見直さなければならない。