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戦闘中のイスラエルも韓国の「少子化戦争」に懸念

戦闘中のイスラエルも韓国の「少子化戦争」に懸念

Posted July. 04, 2024 08:48,   

Updated July. 04, 2024 08:48

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「0.8の韓国の出生率を心配する」

イスラエルのナフタリ・ベネット元首相が先月25日、テルアビブ大学で開かれたフォーラムの演説者として登場した。ネタニヤフ首相の失脚時に再登板説が流れているベネット氏は、イスラエルが昨年10月からパレスチナ武装組織ハマスと戦闘を繰り広げているにもかかわらず、経済社会的に強い復元能力を保有しており、その秘訣は3.0に達する出生率だと話した。正反対の国として韓国を挙げたのだ。

テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏、米サンフランシスコ法科大学名誉教授のジョアン・ウィリアムズ氏など韓国の少子化を心配する著名人は多かった。ソウルから8千キロ離れたテルアビブでも同じ言葉を聞き、韓国の状況がいかに深刻であるかを改めて感じた。昨年第4四半期(10~12月)の出生率が0.65であることを知れば、ベネット氏は今後の講演で韓国の状況にさらに言及するだろう。

同月23~27日に訪問したイスラエルで会った多くの市民や政界関係者は、「子どもが何人、孫が何人」と聞かずとも子孫の多さを誇った。ハナ銀行、NH農協銀行などの資金を誘致して情報技術(IT)スタートアップに投資するベンチャーキャピタル「アワークラウド」のジョン・メドベデフCEOは、「4人の子どもと15人の孫がいる。このうち8人の孫が長男の子だ」と話した。

イスラエルの高い出生率は、2000年以上漂流し、かろうじて国を建て、アラブ諸国に囲まれて常に戦争をしている状況と関係がある。「数」で負けたらまた国を失うかもしれないという実存的な恐怖が、出産と子育てを奨励する社会的ムードにつながった。

ただ、イスラエルを無条件に羨む必要はない。出生率増加の主役が超正統派ユダヤ教徒(ハレディ)だからだ。彼らは平均6.6人の子どもを産む。一般のユダヤ人(2.5人)の約3倍だ。エルサレムのユダヤ教聖地「嘆きの壁」を訪れた時も、長くひげを伸ばし、黒い服と帽子をかぶったハレディの夫の後について、7、8人の子どもを連れているハレディ女性が多かった。

2009年に75万人だったハレディの人口は、22年には128万人に増えた。全人口945万人の13.5%だ。その割合は35年には19%に増加する。

よく知られているように、ハレディは正規の教育を受けず、職業もなく、政府の補助金などで辛うじて生活している。兵役や納税義務を負わず、貧困率も44%に達し、社会全体に大きな負担を与えている。先月25日、最高裁が「ハレディも兵役義務を果たさなければならない」と判決を下すと、彼らは激しく反発し、暴力デモを行った。

少子化を論じる際に必ず登場する「住宅価格、私教育費、雇用、保育制度などを改善すれば出生率が上がる」という指摘は正しい。ただ、このすべての政策が本質的にホワイトカラー層を狙ったという点も否定できない。韓国より子育ての環境が優れ、住宅価格と教育費の負担が少ない北欧でも、出生率は急速に低下している。13年に1.75だったフィンランドの出生率は、わずか10年後の昨年1.26となり、過去最低を記録した。

福祉制度の拡大などの政策が有意な人口増加に繋がらないという点は、様々な国で証明された。これを踏まえると、今や人口消滅の危機を「非常事態」と考えるのではなく、常数として認識しなければならない。ダメージは避けられないが、そのダメージを最小化する方策に集中するのが現実的だ。