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混沌の米大統領選で世界はより危険になった

混沌の米大統領選で世界はより危険になった

Posted July. 08, 2024 09:13,   

Updated July. 08, 2024 09:13

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バイデン米大統領の初の大統領選テレビ討論会での惨敗がもたらした影響は小さくない。民主党の内外から、バイデン氏に対する大統領選辞退の圧力がますます高まっている。大統領選完走の意志を固めたバイデン氏は、状況を反転させるために総力戦に乗り出したが、バイデン氏の家族と参謀たちが健康状態を隠したという疑惑まで浮上した。支持層と後援者、民主党内に広がった恐怖を短期間で克服するのは容易ではないという分析が出ている。

バイデン氏が大統領候補から途中降板するか、「老欲」という指摘に耐えながらも大統領選を完走するか、今回の事態で11月に開かれる米大統領選挙の不確実性はさらに大きくなったというのが衆論だ。一部では、1968年にジョンソン元大統領が再選を放棄した前例を挙げ、バイデン氏の勇退を促している。しかし、大統領選挙まで4ヵ月も残っていない状況で候補が差し変わることは、248年の民主主義の歴史を持つ米国でも「史上初」のことだ。

バイデン氏をめぐる事態の影響は米国だけにとどまらないだろう。共和党が「候補の差し替えは、バイデン氏がもはや大統領職務を遂行できないことを意味する」と権力移譲を要求するほど、バイデン氏のリーダーシップは傷ついた。ウクライナとガザ地区で繰り広げられている2つの戦闘に加え、最近、ロシアと安全保障条約を結んだ北朝鮮の相次ぐ挑発、イランの核開発加速の可能性など、11月の大統領選挙または来年1月の新大統領就任式まで、薄氷の国際情勢はより大きな影響を受けることになった。

何よりも米国のグローバルリーダーシップに対する議論と検証が失踪したという点が懸念される。トランプ前大統領の選挙陣営は、大統領選挙を前に公開する共和党の政綱・政策を簡素化して発表すると明らかにした。この政綱・政策には、共和党全党大会で大統領候補に選出されたトランプ氏の主要な選挙公約が盛り込まれる予定だ。民主党の内紛が大きくなり、勝利を収めたトランプ氏に対する検証を遮断する狙いがある。

焦ったバイデン氏は、トランプ氏が提案した無制限討論を受け入れたが、たとえ2人の候補が再び対面しても、まともな討論が行われるかどうかは未知数だ。世間の関心は、バイデン氏がしどろもどろにならないか、トランプ氏がどれだけ嘘をつくかに集中するしかないからだ。

過去の大統領選挙のテレビ討論会では、外交・安全保障問題が大統領の資質を検証する主要な争点となった。2020年のテレビ討論では、バイデン氏とトランプ氏が北朝鮮の非核化問題をめぐって衝突し、16年にはトランプ氏とヒラリー・クリントン元国務長官が米軍駐留経費の負担増額から韓国など同盟国の独自核武装の可能性まで具体的な懸案事項を議論した。

しかし、今年の大統領選挙では、トランプ氏が中国とのデカップリングを推進するのか、バイデン氏がウクライナ戦争を終わらせるビジョンは何なのか、北朝鮮とロシアの接近にどのように対応するのかなど、世界に大きな影響を与える質問に対する答えは結局、きちんと聞けない可能性が高い。

米国の現実主義政治学者であるオハイオ州立大学のランドール・シュウェラー教授は1日(現地時間)、外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」の寄稿文で、「世界の秩序は、自らが構築した秩序を無駄と見て自ら弱体化させる覇権国によって崩壊する」と指摘した。2つの戦争と北朝鮮、中国、ロシア、イランの緊密な関係の中で行われる今年の米大統領選挙が、より大きな混乱につながらないか心配だ。