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「国を救うために大統領を殺した」 ネットフリックスドラマ「突風」

「国を救うために大統領を殺した」 ネットフリックスドラマ「突風」

Posted July. 08, 2024 09:14,   

Updated July. 08, 2024 09:14

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「大統領を殺したのではない。この国を救ったのだ」

薛景求(ソル・ギョング)氏が扮する首相のパク・ドンホは、大統領暗殺を試みた後、自分の秘書にこう言う。賄賂と汚職が蔓延する国を守るために、仕方なく汚いことをしたということだ。

パク・ドンホは、かつて苦楽を共にした大統領が財閥の総帥から裏金を受け取ったことを知った。パク・ドンホがこれを暴露しようとすると、大統領は捜査機関を動員してパク・ドンホを脅迫する。追い詰められたパク・ドンホは、大統領を殺害しようとする。意識不明の大統領に代わってパク・ドンホが権限を代行する。しかし、財閥の側に立った副首相のチョン・スジン(キム・ヒエ)は、パク・ドンホの前に立ちはだかる。果たしてパク・ドンホは政治を改革することができるのだろうか。

先月28日にネットフリックスで公開された「突風」は、俳優の薛景求氏が初めて出演したオンライン動画サービス(OTT)ドラマとして注目された。腐敗した政界を痛烈に批判し、公開直後、韓国で1位(テレビ部門-ネットフリックスパトロール基準)になった。視聴者の間では「現実の政治に似ていてゾクゾクする」、「保守と進歩を問わず批判して痛快だ」と好評だ。

ドラマが人気を集めているのは、政治家に対する現実的な表現のためだ。特に、パク・ドンホが自分が立てた腐敗撲滅という大義を成し遂げるために大統領の暗殺を試みるシーンを通じ、善悪の二分法を消去した。「嘘に勝つのは真実ではなく、より大きな嘘だ」、「ここは私の顕忠院(ヒョンチュンウォン)だ」といったパク・ドンホの台詞を通じて、政治家がますます没落していく理由を繊細に描いた。ドラマを演出したキム・ヨンワン監督は2日、記者団に「信念を持った人物が怪物になる過程を描きたかった」と話した。

パク・ドンホが目標を達成するために疾走する姿も爽快な「サイダー展開」と評価されている。チョン・スジンを倒すために、パク・ドンホは録音と脅迫を繰り返す。一見、非現実的で無理なストーリーのように見えるが、実在の人物を想起させる点もあり、興味を引いている。キム監督は、「特定の人物や事件を連想させる意図はなかったが、それぞれ違った解釈ができるだろう」と話した。薛景求さんは、「パク・ドンホは現実に存在できないファンタジー的な人物」と話した。

ドラマ「追跡者 チェイサー」(2012年)、「黄金の帝国」(13年)、「パンチ ~余命6ヵ月の奇跡~」(15年)など、いわゆる「権力3部作」を書いたパク・ギョンス作家の筆力も際立つ。「恐怖は彼ら(腐敗した政治家)のものだ」(パク・ドンホ)、「強いものが正しいものを勝ち取る」(チョン・スジン)など、味わい深いセリフが目につく。ベテラン俳優たちの演技も安定している。俳優キム・ヒエは「『突風』には無駄に流せる台詞がなかった」と話した。

ただ、やや誇張された劇的な演出は「玉にきず」だ。韓国の政治を題材にしたため、海外では大きな人気を得られていない。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com