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テレグラムに隠れた金建希氏、謝罪は国民の前ですべきだ

テレグラムに隠れた金建希氏、謝罪は国民の前ですべきだ

Posted July. 11, 2024 09:12,   

Updated July. 11, 2024 09:12

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「非公式の政策決定体制が公式な体制に対して力の優位を占めている。誰もこのような現実を問題視できないほど『聖域化』されていることを垣間見ることができる」

与党「国民の力」の7・23全党大会を「飲み込んだ」韓東勲(ハン・ドンフン)候補の大統領夫人金建希(キム・ゴンヒ)氏のテレグラムメッセージ「無視」論議のことを言っているかのようだ。しかし、このくだりは30年前の1994年、朴承寬(パク・スングァン)ソウル大学教授の著書『現れた顔と見えない手』に出てくる。朴氏は、公式的なコミュニケーション機構を「見せかけの装置」にし、非公式な機構を通じて重要な決定を下す韓国政治の問題点を指摘した。30年経った今、SNSの発達により、非公式のコミュニケーションの窓口はより見えない、私的な空間に隠れてしまった。

見えない手があった。今年1月、金氏が当時の非常対策委員長である韓氏にテレグラムメッセージを送る「手」だ。1月17日、金経矞(キム・ギョンユル)非常対策委員(当時)が、「マリー・アントワネットの贅沢、乱れた私生活」と発言し、金氏の高級ブランド「ディオールバッグ」受領疑惑に関する謝罪要求が殺到した。2日後、金氏は「私の不注意で事態がどんどん大きくなってしまい、心から申し訳ない」とし、「謝罪が必ずしも謝罪に結びつかないことが政界にはある。それでも委員長の意見に従う」と韓氏に送った。韓氏は返事をしなかった。6ヵ月後、論議になると、韓氏は「実際には謝罪をすべきではない理由を並べたメールだった」と話した。

同じ頃、金氏は周囲に「謝罪した瞬間、民主党が野犬のように噛み付くだろう」という保守系ユーチューバーの主張が入ったテレグラムメッセージを送ったという。メッセージの内容が続々と公開されているが、金氏が本当に謝罪の意向があったのか、国政に関与したのかどうかなどに論議が広がり、「金氏一色の全党大会」になってしまった。

「コメントチーム」のような見えない手の疑惑も加わった。事実であれば、陰での世論操作の試みは犯罪に近い。むろん、最大野党「共に民主党」方式でフェイスブックやツイッター、ブログなどにアップした投稿数をいちいち数えて、一人憲法機関という国会議員を評価するのもレベル以下だ。強固な支持層のみを見据えたメッセージだけが乱発されるからだ。

見えない手は誤解を招く。「国民の力」の金宰燮(キム・ジェソプ)議員は、「本当に謝罪の意思があったなら、もっと公式的なルートである大統領室に行くべきだった」と話した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のテレグラム公開による論議は、今回が初めてではない。尹大統領が2022年7月、権性東(クォン・ソンドン)党代表(当時)に、「内部で攻撃をする党代表が代わったので変わった」と送ったメールが公開された。権氏は、「私の不注意で大統領との私的な会話が公開され、誤解を招いたのは全く私の責任」と謝罪した。

国民は現れた顔でコミュニケーションすることを望んでいる。非公開で交わされたテレグラムやSNSに投稿した動画や写真だけではコミュニケーションとは言い難い。韓氏は少なくとも自身の顔を出して謝罪を求めた。しかし、金氏の謝罪の真意は、周囲に送ったテレグラムメッセージで推定が可能なだけで、明確ではない。大統領夫人の謝罪が簡単な問題ではないことはよく分かっている。それが難しい意思決定であるため、第2付属室を作り、公的な意思決定過程から出発しなければならない。