ソウル芸術の殿堂「ボーカルマスターシリーズ」の2番目の主人公は、ベースのヨン・グァンチョル(59)だ。ドイツのバイロイト音楽祭に150回以上出演し、ベルリン国立オペラの「宮廷歌手」の称号を受けたヨン氏は26日、ソウル芸術の殿堂のオペラ劇場で、ホン・ソクウォンが指揮する京畿(キョンギ)フィルハーモニーオーケストラの伴奏でリサイタルを行う。これに先立って3日は、ニューヨークメトロポリタンオペラ初の韓国人主役歌手であるソプラノの洪惠敬(ホン・ヘギョン)がボーカルマスターシリーズの初舞台を開いた。
「伝説の旅路」と名付けた今回のリサイタルで、ヨン氏は、「もう飛べないだろう」等、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」に出てくるアリア2曲で始まり、「ドン・カルロ」中の「彼女は私のことを愛したことがない」等、ヴェルディのアリア2曲で前半を締めくくり、後半は「パルジファル」中「ティトゥレル、信仰心厚い英雄」等、ワーグナーのオペラアリア4曲で飾る。
10日、ソウル芸術の殿堂で行われたインタビューで、ヨン氏は特に国内ではなかなか聞くことができないワーグナーのアリアへの注目を呼びかけた。「これらの曲は退屈に感じられることもあります。どこでどのように終わるのか、結論が出ない状態で音楽が進みますから。しかし、そのような要素も私が舞台で生きてきた姿の一部です」。氏は、「ドイツ文化と言えば、ビールやソーセージだけを考えやすいが、彼らはどんな音楽を聞くかを考えて『予習』をしてくることを勧める」と話した。
16日は、声楽家を指導するワークショップも開く。多くの応募者の中から、ヨン氏は自分の音域と同じ4人のベースを選んだ。ワークショップで強調したいこととして、ヨン氏は、「言語」を挙げた。「特に韓国人として、海外の舞台で歌うためには、例えば目を閉じた時、ドイツのオペラはドイツ人が歌うように聞こえなければなりません。私は、王の役割をするとすれば「背の低い東洋人がヨーロッパの王を?」という偏見を乗り越えるために多くの努力をしました。その国の人よりもはっきり聞こえるように発音して、聴覚的なものが視覚的なものを超えるようにしなければなりません」
ヨン氏は、「韓国の音楽界には、需要より供給が多い」と、苦言を投げかけた。「声楽を専攻し、オペラをやっていて、ミュージカルもやるし、トロットもやります。勉強ももっとたくさんして活動ももっとしなければならない人が、他の分野でスター扱いされて、すごいことのように包装されます。メディアと観客が本当に良い歌手を探し出す努力をしてこそ、良い歌手が生き残る時代が来るでしょう」
ボーカルマスターシリーズの最後の舞台は、11月16日、ベースバリトンのサミュエル・ユンが主人公だ。「放浪者」というテーマで、音楽劇形式の公演を披露する予定だ。お問い合わせは1668-1352、1544-1555まで。
ユ・ユンジョン文化専門記者 gustav@donga.com