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1万ウォンを超える最低賃金、いつまでどんぶり勘定で決めるのか

1万ウォンを超える最低賃金、いつまでどんぶり勘定で決めるのか

Posted July. 13, 2024 08:49,   

Updated July. 13, 2024 08:49

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来年度の最低賃金が、今年より170ウォン上がった1時間当り1万30ウォンに決定された。1988年に最低賃金が導入されて以来、37年ぶりに1万ウォンを越えたのだ。月給に換算すれば、209万6270ウォンとなる。今年も経済的波及効果をめぐる深い悩みの代わりに、最低賃金委員会で事実上政府を代弁する公益委員が労使双方の顔色を伺いながら中途半端な線で妥協することが繰り返された。

最低賃金委員会の委員らは、昨日未明まで会議を開き、労使が出した2つの修正案をめぐって採決し、使用者側の案である1.7%の引き上げを決めた。27人の委員のうち、民主労総側の委員4人は採決に参加しなかった。来年の引上げ率は、コロナ禍だった2021年の1.5%に続き、過去2番目に低い上げ幅となる。飲食料・宿泊など一部業種の差別化は労働界の反発のために早目に議論の対象から除外された。物価上昇率に至らない引き上げ幅に対し、労働界は、「実質的な賃金削減だ」と反発する。据え置きを主張した経営界た自営業者らは、心理的マジノ線である1万ウォンが崩れたと不満だという。

来年度の上げ幅は少ないものの、韓国の最低賃金は今年すでに、日本や台湾、香港より高いアジア最高の水準だ。来年の最低賃金1万30ウォンで、週15時間以上働けば、一日分をさらに支給する週休手当てまで考慮すれば1時間当り1万2036ウォンとなる。このために従業員を減らし、無人レジを設置する「一人の自営業者」と週15時間未満働く「分割バイト」、廃業する小規模自営業者が増えるだろうという懸念が少なくない。

労使双方とも満足できない結果が出たのには、意思決定の構造上の問題がある。最低賃金が上がっても働き口を失う心配のない大企業・公企業の正規職中心の二大労総が労働界を代表することで、賃金引き上げで直接打撃を受ける脆弱階層や非正規職の声は反映されずにいる。さらに、経済全般に対する客観的かつ総合的判断なしに、労使がその都度自分に有利な一部の経済指標を前面に出し、駆け引きのようにどんぶり勘定式に交渉することも問題だ。

結局、来年度の最低賃金も、自営業者・中小企業の要求を意識するものの、労働界の宿願である1万ウォン台はかろうじて越えた政治的判断の結果物となった。このような決定を下した最低賃金委員会の中でも、現在の意思決定のシステムは限界にぶつかったという評価が出ている。政府と国会は、最低賃金の決定と関連した制度を裾野から整備する作業に着手しなければならない。