Go to contents

世界が驚いたトランプ氏襲撃、民主主義を窒息させる憎悪の政治

世界が驚いたトランプ氏襲撃、民主主義を窒息させる憎悪の政治

Posted July. 15, 2024 09:32,   

Updated July. 15, 2024 09:32

한국어

米共和党大統領候補のトランプ前大統領が襲撃された。11月の大統領選挙を控え、13日、ペンシルベニア州で開かれた選挙集会で演説をしていたトランプ氏は、飛んできた銃弾が右耳の上部を当たった。危うい瞬間だったが幸い命に別状はないと、米メディアは報じた。狙撃犯は100メートル離れた建物の屋上から半自動小銃で8発撃った後、現場で射殺された。トランプ氏の周辺の支持者のうち1人が流れ弾で死亡し、2人が重傷を負った。20代の白人男性である狙撃犯は、共和党員と特定された。銃撃の動機については捜査が行われている。

大統領候補の暗殺未遂は、憎悪が支配する米政治の内実を露わにした。「文化戦争」と言われるように、ワシントン政治は、ジェンダー、移民、人工中絶権、福祉政策をめぐって対立を繰り返してきた。2016年のトランプ大統領の登場後は、より刺激的な言論が日常化している。統合の主体であるはずのトランプ氏は批判者を嘲笑し、憎悪を煽り、対話と妥協が失われ、民主主義は窒息していった。政治の低質化の一軸であるトランプ氏が憎悪の銃弾を浴びたのは皮肉なことだ。

米国の政治が極端な方向に向かうにつれて、健全な公論の場は崩壊している。有権者の間では、事実と真実には無関心な行動が現れた。虚構の話を自分たちだけ事実として信じる「代替的事実」という不合理な新造語まで登場した。トランプ氏が4年前、自身が敗北した大統領選挙をめぐって「不正選挙がなければ勝てた」と主張し、少なからぬ米国人がそれを事実と信じ、一部は暴力的な米連邦議会議事堂への乱入まで行った。

狂信的なファンダムとファンダムを憎む冷笑が広がり、保守・進歩を問わず、米国の一部では暴力も辞さないという考えが広まっていった。先月、シカゴ大学の世論調査では、バイデン大統領、またはトランプ氏が大統領選挙の勝者になるのを阻止するためには力を使ってもいいという回答がそれぞれ10%、7%となった。このような極端な回答者のうち、3分の1と半分が銃の所有者だった。今回の暗殺未遂が危険なのは、このような世論と無関係ではない。

米国ではケネディ兄弟とキング牧師が暗殺された混沌の1960年代を経て、80年代にレーガン大統領暗殺未遂があった。その後、40年以上姿を消していた政治的暗殺が再び現れた。政治の二極化とそれをもたらした政治家たちの扇動が、もはや容認しがたいレベルに達したということだ。このような米国的な現象は、見れば見るほど韓国の政治に似ている。私たちも今年初め、野党代表を狙ったテロがあった。これを教訓にしなければ、いつ同じようなことが起こらないとも限らない。