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何もしない教師と後ろ手の教頭先生

Posted July. 15, 2024 09:32,   

Updated July. 15, 2024 09:32

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先月、全羅北道全州市(チョルラブクド・チョンジュシ)の小学校では、無断で早退をしようとした3年生の男子児童が、これを止める教頭に対し「監獄に行け」と悪口を言って頬を殴って議論となっている。映像では、この男子児童は、廊下に他の教師がいるにもかかわらず、気にせず教頭に唾を吐いたりもした。この児童の保護者も教師に暴行を加え、学校から通報されている。映像を見た市民たちは昨年7月、ソウル瑞草区(ソチョグ)瑞二(ソイ)小学校教師死亡事件が発生してから1年近く経っているが、学校現場ではあまり変わっていないようだと残念な気持ちを吐露した。

実際、瑞二小学校教師死亡事件後、毎週、教師たちがデモを行い、「教権保護5法」も国会で可決されたが、現場ではあまり変わっていないという反応がより多い。最近、ソウル教師労働組合が行ったアンケート調査では、教師10人中8人(84.1%)が、教師の教育活動保護に変化がないと答えている。亡くなった瑞二小学校教師と似た経験をしたという回答も78.6%に達した。

この映像でさらに衝撃的だったのは、暴行を受けながらも手を後ろにして諦めたように立っていた教頭の姿だった。乱暴な行動をする児童を制止しようとしたが、ややもすると児童虐待に追い込まれやすい学校の現実が、手さえ触れないように後ろ手を組ませたのだ。

瑞二小学校教師死亡事件後、小学校教師のオンラインコミュニティでは、「私は苦情が全くない完璧な教師だ」というタイトルの文が話題になったことがある。この文が、瑞二小学校教師の死亡1周忌を控えて、再び様々な教師コミュニティで語られている。

この文の掲載者は、保護者の苦情と問題児童の多い学年の担任教師をよく引き受けているが、児童・保護者・管理者全員を満足させ、いかなる苦情も受けていないと話した。保護者の相談では、聞きたがる良い言葉だけを言ってあげ、授業時間に児童が他のことをすれば、そのまま放っておくというやり方だ。また、本人は新規教師の時、宿題をたくさん出したら塾の勉強に支障を与えるという保護者の苦情が続き、誤った行動を叱った後は「児童虐待」の疑惑で告訴されたとし、以後何もしない教師であり、良い評価を受ける教師になったと話した。

全州小学校の映像を見ながら、この文が再び浮び上がった。何もしない教師、児童の問題行動にも後ろ手を組む教頭を、果たして誰が作ったのだろうか。また、瑞二小学校死亡教師の遺族たちが今年2月、公務員災害補償審議会に提出した映像も思い出した。映像には、授業中に椅子をひっくり返して足で蹴る子供、泣きながら物を投げる子供などの姿がそのまま残っており、殉職審査の過程で児童指導の困難さを立証した証拠として認められた。何もしない教師の下で様々な問題行動をする子供たちは、どのように育つのだろうか。

児童の行動を正す機会が消える原因は多様である。「我が子至上主義」に陥った保護者、現場で「体感しにくい」という指摘を受ける教権保護5法、学校で問題が生じないことが最も重要だという管理者、児童・生徒の人権を過度に強調した結果、教師を「潜在的犯罪者」と考えるようになった関連団体…。さらに教権侵害を問題視すれば、保護者たちが「情緒的児童虐待」で対抗する形態も繰り返されている。

今からでも瑞二小学校事件が残した教訓を生かし、学校現場では教権保護を遮る障害物を片付けなければならない。そうしなければ、韓国社会は教室で問題行動をした児童生徒たちが社会に出て、あちこちでより大きな問題を起こす時にその代価を払うしかない。