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今は「AIのはしご」に先に登らなければならない時

今は「AIのはしご」に先に登らなければならない時

Posted July. 17, 2024 08:52,   

Updated July. 17, 2024 08:52

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技術の歴史の中で大きな対立は、「はしごを外す」ことから生じることが多かった。技術のはしごを先に登った後、はしごを蹴って後続走者を阻止するのだ。後続の人は上を見るだけで何もできない。はしごを登った人は下に手を差し伸べない。生存に直結する問題でもある。数万年前、錐に穴を開けて耳付きの針を作る技術はホモ・サピエンスの必殺技だった。このような技術を持てなかったネアンデルタール人は取り残されるしかなく、やがて絶滅した。

先史時代まで行く必要もない。韓国は今、核兵器を持つことはできない。核兵器技術を先に確保した米国、ソ連(ロシア)、英国、フランス、中国など核クラブ国家がいち早く「核のはしご」を外してしまった。

1968年に国連総会で採択された核兵器不拡散条約(NPT)は、非核保有国が核兵器を持つことを禁止した。NPTが前面に打ち出したのは、核兵器の脅威の中で人類の安全と生存を確保するということだった。この当為命題は強力だった。もはや「核のはしご」は存在できなくなった。

一方、はしごを登った核クラブ諸国は、より多くの核実験を行い、より多くの核兵器を保有するようになった。すでに持っている国は永遠に持ち、持てない国は永遠に持てないということだ。韓国は生存の大半を他の国に頼るしかない状況になった。

人工知能(AI)が核のはしごに似た様相を呈している。AIは核兵器に劣らず、人類の未来を決定する重要な技術に挙げられる。この技術を持つか持たないかで、国家の発展の可否が決まると専門家は見ている。

「AIのはしごを外す」兆候はすでに現れている。欧州連合(EU)はAI規制法であるAI法を8月1日から発効する。これに先立ち、昨年10月、米国もバイデン大統領の「AI大統領令」を通じて規制に乗り出した。名目は急速に発展するAIから人間の価値と尊厳を守るということだ。

規制の大義名分は美しい。しかし、それに惑わされ、その裏側に隠された意味を見逃してはならない。規制によってAIのはしごが外されているのだ。EUと米国の規制でより大きな打撃を受けるのは、米国のAI先導企業ではなく、韓国などの国にある後発企業だ。

韓国政府はAI振興と育成のためにAI基本法を策定した。しかし、極端な与野党の対立の中で、先の国会は法案を通過させることができなかった。第22代国会での再上程を控えているが、議論がまとまらないのではないか懸念されている。

AI技術開発を促進するための「『先』許可、『後』規制」の原則はすでになくなった。規制をさらに強化する方向に議論が進んでいる。進歩ネットワーク、情報人権研究所など進歩的な市民団体が主軸となり、EUや米国の規制の動きに追随している。

むろん、AIがもたらす事故を防ぐために規制は重要だ。しかし、韓国はまだAI強国ではない。AIのはしごに高く登ることができなかった。今は自ら足を引っ張って歩けないようにする時ではなく、急いでAIのはしごを登るべき時だ。核のはしごのように、AIのはしごはすぐに撤去される。下から上だけを眺めなければならない後悔と直面する生存の危機は、核兵器の時より何倍も大きいかもしれない。