Go to contents

現代自の「継続雇用」実験

Posted July. 19, 2024 09:01,   

Updated July. 19, 2024 09:01

한국어

先週終了した現代(ヒョンデ)自動車労使の賃金および団体協約には、目を引く部分がいくつかある。まず、「夏闘」の象徴だった現代自動車の賃金団体交渉が、6年連続でストなしで妥結した。1987年の労組創立以後、過去最長のスト無し記録ということで意味が格別だ。史上最大の業績を基盤に、賃上げも過去最大級だ。労組が試算した賃金上昇幅は、成果給を含め1人当り平均5000万ウォンに達する。オンラインコミュニティには、現代自動車の大卒新入社員の初任給が9400万ウォンを超えることになったという書き込みが掲載され、MZ世代のサラリーマンたちの羨望を集めている。

中高年層の注目を集めたのは定年退職者の再雇用を拡大した部分だ。現代自動車は、60歳の定年後も、生産職労働者が望めば、さらに1年間契約職として働く「熟練再雇用」制度を施行しているが、この期間を2年に増やすことにしたのだ。年俸は新入初任給水準に劣るが、事実上62歳に定年が延長される効果がある。これは、現代自動車の組合員の半分が50歳を越え、毎年2000人以上が定年退職する状況で労使が探した折衷案だ。会社としては、相対的に少ない人件費で熟練労働者を活用でき、労働者は退職後に直面する所得空白を避けることができるためだ。

現代自動車の再雇用方法は、少子高齢化による労働力不足の問題を解消する代案になりうるということで、期待を集めている。65歳以上の高齢人口は、今年初めて1000万人を突破し、超高齢社会への進入を目前にしている。世界最悪の合計出生率を政府の目標どおり1人に引き上げても、2070年には生産可能人口が半分になるという暗鬱な見通しも出ている。現代自動車のように定年が過ぎた労働者を再雇用して生産人材として活用すれば、労働人口の急激な墜落は防げるという話だ。

超高齢社会を先に経験した日本は、高齢労働者の活用をいち早く制度化した。日本の法定定年は60歳で韓国と同じだが、日本の労働者たちは希望すれば65歳まで思う存分働くことができる。企業が65歳まで「定年延長」や「定年廃止」、「再雇用を通じた継続雇用」の中で一つを選択するよう義務付けたためだ。さらに、2021年からは、70歳まで雇うように、企業に対す「努力義務」を設けた。強制ではないが、70歳まで雇うことを勧告したことになる。

このため、常時労働者21人以上の日本企業の99%が、65歳まで労働者を雇っている。特に70%以上は、3つのオプションのうち、継続雇用を通じて働く意志のある高齢人材を使っている。まだ号俸制が残っている日本企業の多くが、人件費負担の大きい定年延長よりは現代自動車のような継続雇用を選んだのだ。トヨタ自動車は来月から、すべての職種で70歳まで再雇用を拡大することにしたが、早目に号俸制を廃止し、毎月成果を評価して月給に反映する賃金体系に見直したために可能なことだ。

韓国も60歳を超えて働き続けられるよう、定年制度を整備しなければならないということに異論はなさそうだ。第2次ベビーブーム世代の945万人の引退の津波が今年から本格化している状況で、これ以上先送りする時間がない。ただ、今の号俸制を維持したまま、労働界の主張どおりに定年を延長すれば、賃金負担が増えた企業は若者の採用を減らし、世代間の対立を増大させる恐れが大きい。現在の二重的労働構造で、定年延長の恩恵は大企業の正規職だけに集中することもありうる。すでに人手不足に苦しんでいる中小企業は、定年が形骸化して久しい。現代自動車の継続雇用の実験が産業界全般に拡散するように場を設けるのが、政府と国会の役割だ。