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春の花が散った夏には…フェンシングでメダルの花を咲かせる フェンシング代表ノユン・ジス

春の花が散った夏には…フェンシングでメダルの花を咲かせる フェンシング代表ノユン・ジス

Posted July. 20, 2024 08:55,   

Updated July. 20, 2024 08:55

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「パリに行っても、行きたいところ、食べたいものが一つもないんです」

パリ五輪に出場するフェンシング女子サーブル代表のユン・ジス(31・写真)はこう言いながら、「メダルさえ首にかけることができれば、韓国に帰ってキムチチゲを食べてもいい」と話した。パリにエッフェル塔、ルーブル美術館、ブランドショップが立ち並ぶシャンゼリゼ通りがあるということはユン・ジスも知っている。パリ五輪でメダルを取りたいという切実な気持ちを伝えようとしているうちに、こういう言い方になったのだろう。

ユン・ジスは、今回のパリ五輪が3度目の五輪参加になる。先立って2016年リオデジャネイロ、2021年東京大会の時は女子サーブル代表チームの最年少だったが、今度は最年長でチームを率いる。ユン・ジスが代表選手生活中にいつも頼りにしていた先輩のキム・ジヨン(36)は、東京五輪で女子サーブル団体戦で初メダル(銅メダル)をけん引した後、昨年代表を引退した。パリ五輪女子サーブル代表の最年少、チョン・ハヨン(23)はユン・ジスより8歳年下だ。

ユン・ジスは昨年、サーブル代表チームの主将になった。主将として初めて出場した国際総合大会だった昨年の杭州アジア大会では個人戦金メダルと団体戦で銅メダルを獲得した。パリ五輪でも個人戦と団体戦ともに表彰台に立つのを目標にしている。五輪フェンシングの個人戦と団体戦でメダルを獲得した韓国選手は、男子サーブルのキム・ジョンファンが唯一だ。キム・ジョンファンは東京五輪で個人戦銅メダル、団体戦金メダルを獲得した。

代表チームの最年少だった時、ユン・ジスは個人戦よりは団体戦での成績が良かった。チームが遅れを取っているたびに点差を縮めて雰囲気を盛り上げた。しかし、主将になってからは団体戦で苦戦した。ユン・ジスはパリ五輪開幕前に最後に出場した先月のアジア選手権でも個人戦は銀メダル、団体戦は銅メダルを取った。同大会の団体戦で韓国が優勝できなかった種目は女子サーブルだけで、ユン・ジスは胸が痛かった。

ユン・ジスは「『自分がもっとうまくやらなければならない』という気持ちがあまりにも強かった。男子サーブルではオ・サンウク、女子エペではソン・セラのようなエースたちがよくやってくれて金メダルを獲得しているのを見て、『自分はなぜこんなにできないのだろう』と思った」と先月のアジア選手権を振り返った。また、「努力すれば良い結果がついてくると信じているのだが、いくら頑張っても他の種目のエースたちについていけないような気持だった。『自分はこれくらいしかできないのか』と疑うことあった」と話した。

ユン・ジスは揺れる度に「花はそれぞれ咲く季節が違う」という言葉を思い出したという。「代表選手として12年間訓練し、これまで過ごしてきた時間を信じようとしている」と話した。重い荷を背負って孤独な道を先に歩いたメンターも近くにいる。プロ野球ロッテで投手として活躍し「孤独な皇太子」と呼ばれたユン・ハクギル韓国野球委員会(KBO)才能寄付委員(64)がユン・ジスの父だ。

ユン・ジスは「お父さんは、私に運動の話をあまりしない。ところが、母が『ジスが今回のアジア選手権団体戦で銅メダルにとどまり、大きく傷ついた』と言ったら、父が『重要なのはオリンピックだ。傷つくことはない。何でもない」と言ってくれたという。

フェンシング代表チームは20日、決戦の地パリに向けて出国する。ユン・ジスが出場する女子サーブル団体戦は、フェンシング代表の試合日程の中で一番最後の8月4日にメダルの主人公が決まる。ユン・ジスは「サーブル団体戦が最後の試合であるだけに、より素敵な舞台にしたい」と意気込みを語った。


任寶美 bom@donga.com