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初の「抗命」捜査につながった「小細工」人事

初の「抗命」捜査につながった「小細工」人事

Posted July. 23, 2024 08:31,   

Updated July. 23, 2024 08:31

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「服務評定なしに、検察人事を行ったことはこれまでなかった。本当に深刻なことなのに、誰も問題にしていないのでむしろ疑わしい」。今年5月13日、ソウル中央地検の大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏捜査の指揮ラインが全て交替されたが、その直後、検察の関係者が、「検事人事規定」違反だと批判したことがある。実際、人事規定を調べると、検察人事の予測可能性と公正性を高めるために、先に評定を行い、その結果によって人事を行うよう義務付けている。ところが法務部は最近、検察人事が終わった8月初めに上半期の評定を行うと公示した。例年より2ヵ月遅れたのだ。誰が見ても前後が逆転したもので、規定違反だ。

実は、「5・13検察高位幹部の人事」は、法務部長官と検事総長との人事衝突でさらに注目を集めた。当時、朴性載(パク・ソンジェ)長官が李昌洙(イ・チャンス)ソウル中央地検長の人事カードを押し付けようとすると、李沅䄷(イ・ウォンソク)総長は、「捜査の公正性が毀損されかねない」と反対したという。その直前、ソウル中央地検の指揮部が、ドイツモータースの株価操作疑惑とディオールバック授受疑惑で捜査を受けている金夫人の検察庁舎内での事情聴取を強行しようとすると、指揮部を交替してこれを防ごうとしたというのが李総長の見解だった。すでに知られている話だが、総選挙前も同じ内容の人事が行われるところだったが、李総長が辞表まで提出すると言い張って失敗に終わったこともある。

このため、李総長は5・13人事直前に、李地検長人事を含む長官の検察高位幹部の人事案を最後まで見ないと固執したという。法務部が人事案を最高検察庁に提出すれば、同意しない理由を詳しく書いて記録に残すとし、署名まで拒否したという。検察庁法には、「長官は検事の補職と関連して、総長の意見を聞かなければならない」という規定がある。総長が検察人事に不同意だということも意見とみなすならば、法律違反でないかもしれない。だが、立法趣旨とはあまりにも違う「小細工」人事と見るほかはない。

それから2ヵ月後、ソウル中央地検の新指揮部は、金夫人を検察外の大統領警護処の建物である「第3の場所」で事情聴取したにもかかわらず、事情聴取の場所とその時点、事情聴取のやり方などについて、李総長に事前に報告しなかった。検事総長は検察捜査を総括し、すべての検察公務員に対する指揮監督権がある。上命下服の組織文化がまだ残っている検察では、未曽有の初の抗命事態だ。

さらに大きな問題は、ソウル中央地検長一人ではなく、ソウル中央地検の次長と部長、主任検事が一糸乱れず、総長はもとより総長参謀陣にも捜査内容を報告しなかったということだ。総長の反対にもかかわらず、2ヵ月前の人事が誰かになぜ必要だったのかを、これよりよく示す場面はない。

ただでさえ、金夫人の事件は巨大野党が特検を推進している。すでに一度大統領が拒否権を行使したため、検察捜査に少しでも欠陥が発生すれば、特検を再び推進する名分はさらに大きくなる可能性がある。このような状況で、検事総長がソウル中央地検の金夫人の検察捜査について、「法の前には例外も、特恵も、聖域もないという捜査原則が守られず申し訳ない」と国民向けの謝罪まで行った。

「外部と戦わなければならない時点で、野党に餌を投げる内輪もめを見ているようだ」という法曹人の観戦評はなに一つ間違っていない。まるで特検を自ら招くようなソウル中央地検の捜査過程を見れば、結局、検察改革の第1課題は検察人事という言葉がさらに重く感じられる。