Go to contents

自宅で最期を迎えることができれば、個人も社会も幸せ

自宅で最期を迎えることができれば、個人も社会も幸せ

Posted July. 24, 2024 08:55,   

Updated July. 24, 2024 08:55

한국어

健康で暮らし、自分の家で眠りにつくように臨終を迎えることは、すべての人の願いだろう。韓国人が最も好む臨終の場所は自宅であり、1990年代初頭には10人中8人が自宅で臨終を迎えた。しかし、今はほとんどが病院で全身に医療機器をつけたまま最期を迎える。自宅で快適な臨終を迎えるケースは16%にすぎない。自宅では医療と介護サービスを受けることが難しいからだ。

東亜(トンア)日報の取材チームが最近訪れたオランダの高齢者ケアの現場は、医療、看護、療養制度を連携して運営すれば、自宅で臨終を迎えることは難しくないことを見せてくれる。1970年代から統合ケアシステムを構築してきたオランダは、病院で最期を迎える割合が23.3%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も低い。高齢者たちは、デイケア施設で隣人と家庭菜園をしたり、動物を飼ったりしながら、活き活きとした老後を過ごしている。認知症をはじめ、慢性疾患や骨折をしても病院に入院せず、自宅で訪問治療や介護を受ける。一人暮らしが困難な状態になったとしても、できるだけ自宅と同じような環境で、自分で料理や洗濯をして過ごすことができる。

オランダのように急速な高齢化を経験している先進国は、「自分の家で老いて死ぬ権利」の保障を老人福祉政策の中心目標としている。家族や社会と健康的な関係を築きながら生き生きと暮らし、尊厳ある死を迎えるためだ。可能な限り病院の世話になることなく、臨終の直前まで自宅で過ごせるよう支援する政策は、不必要な医療行為と医療費負担を減らすためにも必要だ。海外の事例を研究した資料によると、65歳以上の高齢者にかかる医療費は全体の医療費の半分に達する。

韓国は高齢者に合わせた医療ケアシステムが未整備のため、高齢者は年をとって体が不自由になると、老人ホームや療養所、病院の救急室、集中治療室を転々とし、不必要な検査ばかり受けて生を終えることになる。先端医療技術を有意義な人生を延ばすのではなく、苦痛な死を延ばすことに使っている。それに伴う医療費負担も健康保険財政を脅かすほど大きくなっている。今や生活の質に劣らず、死の質も管理しなければならない。肉体的な苦痛なく、住んでいた場所で、家族が見守る中、穏やかな最期を迎えることができてこそ、個人も社会も幸せになれるだろう。