米国が中国やロシアはもとより、北朝鮮、イランなどと同時に戦争をすることができるように準備しなければならないという米議会報告書が公開された。また報告書は、11月の米大統領選挙で誰が勝利しても、陸軍中心の在韓米軍を維持する必要があると指摘した。中国牽制に集中し、在韓米軍駐留経費の負担を軽減するために在韓米軍を撤退または削減しなければならないという共和党大統領候補のトランプ前大統領選挙陣営の一部主張とは反対の内容が盛り込まれた。
米議会傘下の国家防衛戦略委員会(NSRD)は29日に公開した「国防戦略書(NDS)検討報告書」を通じて、「米国が近いうちに様々な地域で敵対国と戦争をして敗北する可能性がある」とし、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどいわゆる主要敵性国との同時多発的な衝突に対する準備を促した。国家防衛戦略委員会は、政府が最上位防衛戦略である国防戦略書を出すと、党を超えた独立委員会を構成した後、議会に国防戦略書修正勧告案を盛り込んだ報告書を提出する。今回の報告書作成にはエリック・エデルマン元国防次官などが参加した。
特に報告書は、北朝鮮、中国、ロシア、イランの安全保障協力を指摘し、「バイデン政権が2022年に出した国防戦略書は、複数の地域で同時多発的に発生する紛争の脅威を反映していない」とし、「同盟国と共に複数の地域で同時多発的な衝突が発生する可能性を反映しなければならない」と指摘した。中国、ロシアとの衝突時、北朝鮮、イランとも同時に戦争ができるように米軍と同盟国の国防力を強化しなければならないという意味だ。
北朝鮮については、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が30個以上の核弾頭を増やすことに専念している」とし、「一部のアナリストは、北朝鮮が戦争をすることを決定したと見ている」と強調した。また、中国が米国の最も重大な脅威だが、5大敵対勢力(中国、ロシア、イラン、北朝鮮、主要テロ団体)すべてを無視することはできないとし、「中国に全面的に焦点を当てていても、米国は依然として世界的なプレゼンスを維持しなければならない」と主張した。
ウクライナ戦争を通じて、欧州で依然として(戦車、装甲車など)重装甲兵力が必要であることが確認されたことを強調し、「韓半島でも有事の際にはその可能性がある」と指摘した。一部で中国との紛争に備えるには、在韓米軍を空軍と海軍中心に調整しなければならないという主張があるのとは異なり、陸軍中心の兵力維持が必要であることを説明したものとみられる。
報告書はまた、米国が同時多発的な戦争に備えるには、国防費の増額上限をなくし、「国力のすべての要素」を投入する事実上の総力戦に取り組むべきだと勧告した。このため、韓国など同盟国との情報共有と共同兵器生産を強化すべきだと強調した。
ワシントン=ムン・ビョンギ特派員 weappon@donga.com