Go to contents

フェアプレーとチームワーク

Posted August. 01, 2024 08:52,   

Updated August. 01, 2024 08:52

한국어

最も重要なスポーツ精神は、「フェアプレー」だ。もし2人以上の団体競技であれば、チームワークも重要だ。19世紀の米国の写実主義画家トマス・エイキンズは、自分が生きていた時代のスポーツシーンを生き生きと描き、大きな名声を得た。

「標識の杭を廻るビグリン兄弟」(1873年)は、1872年5月にフィラデルフィアのスクールキル川で行われた有名なボート競技の一場面を描いている。多くの観衆が川沿いに並ぶ中、選手らが櫓を漕いでいる。2人乗りスカルに乗った選手は、バーニーとジョン・ビグリン兄弟だ。ジョンが櫓を押し、バーニーが櫓を引っ張って、青い旗のついた杭を廻っている。5マイルに及ぶコースの中間地点だ。最も難しい区間だったが、兄弟は見事なチームワークで一番先に出た。右に見えるライバルたちはすでに遅れている。ビグリン兄弟はこの大会で1分差で優勝し、世界チャンピオンに輝いた。

エイキンズはきっと試合を見守り、この歴史的な瞬間を絵で記録したかったのだろう。米国で初めて開催されたダブルスカル競技であり、新たな世界的スポーツスターを誕生させたからだ。絵には、アスリートの姿勢、筋肉の緊張、船の形、水の反射など、細かな要素が非常に精巧に描かれている。競技や選手への深い理解がなければ不可能だろう。実際、エイキンズはボート選手だった。ボートだけでなく、水泳、レスリング、ヨット、体操などを楽しんだ運動好きだった。

ボート競技は1870年代の米国で最も人気のあるスポーツのひとつだった。画家は、ボートが折り返し地点を廻る最も困難な瞬間、息の合った2人の選手の姿を捉えて描いた。激しい試合の緊張感とチームワークを強調するためだ。しかし、ビグリン兄弟が見せたフェアプレーとチームワークは、スポーツだけでなく、世界のほぼすべての分野で必要な基本的な徳目ではないだろうか。