パリ五輪アーチェリー競技が行われるフランス・パリのアンバリッド競技場で最も多く聞こえる言語は韓国語だ。多くの国の選手が韓国人指導者や韓国選手たちと会う時は「アンニョンハセヨ」と韓国語で声をかける。
各国の選手団が一緒に練習する姿を見ていると、ここが韓国なのかフランスなのか紛らわしい時もある。他の五輪同様、今大会でもアーチェリー競技場では韓国人指導者の「同窓会」が随時開かれるからだ。
今大会のアーチェリーに出場した韓国人指導者は、韓国を除いても8ヵ国にのぼる。オ・ソンテク(フランス)、クォン・ヨンハク(中国)、金相勲(キム・サンフン=日本)、イ・ジェヒョン(マレーシア)、パク・チェスン(ベトナム)、パク・ヨンスク(ブータン)、ホン・ソンチル(イラン)、イ・ギョンチュル(インドネシア)らだ。ペク・ウンギ(インド)、キム・ジェチョン(カザフスタン)、キム・ミョンソン(ウズベキスタン)、イム・ヒシク(モンゴル)は五輪の舞台に立つことはできなかったが、各国の五輪出場枠獲得に力を添えた韓国人指導者まで入れれば10ヵ国をはるかに超える。
「世界最強」韓国のアーチェリーを体で覚えた指導者たちが世界各地に進出し、世界アーチェリーのレベルが平均的に向上している。トレーニング法や技術、装備操作法などは、もはや韓国だけの専有物ではない。
今大会だけでも10連覇を達成した韓国女子代表チームの決勝相手は、クォン・ヨンハク監督率いる中国だった。2006年、中国の自治体チームで海外生活を始めたクォン氏は、2022年から中国女子代表チームを指導している。中国女子代表は今年、世界アーチェリー連盟(WA)のワールドカップ第1戦と第2戦で韓国を破るなど韓国にとって最も脅威的な存在として浮上した。クォン氏は決勝で敗れた後、「銀メダルは悔しいが、韓国チームと対等な試合をしたことだけでも満足している」と話した。
オ・ソンテク監督率いるフランス代表チームも、男子団体決勝で3連覇に挑戦する韓国と対戦した。オ氏は2000年シドニー五輪と2012年ロンドン五輪で韓国代表監督を務めた名将。この日、銀メダルを獲得し、フランスアーチェリー史上初メダルをもたらしオ氏は、「韓国選手とは確かにレベルの差がある。しかし、目標は決勝で韓国と対戦することだった。目標を達成しただけでも十分満足している」と語った。
韓国とフランスは今大会を控え、互いに助け合った。フランス選手たちは鎮川(チンチョン)選手村で韓国選手たちと合同練習を行った。韓国選手たちはフランスでの合宿トレーニングの時、パリ近郊にあるフランス代表の練習施設を利用した。
このほか、パク・チェスン監督の指導でベトナムは史上初めて自力で五輪出場権を獲得し、インドネシアもイ・ギョンチュル監督のおかげで32年ぶりに団体戦で出場枠を獲得した。金相勲監督率いる日本男子代表は、今大会で韓国と準々決勝で対戦した。日本男子代表は2021年東京五輪では団体と個人戦でそれぞれ銅メダルを獲得した。
2016年リオデジャネイロ五輪の時、マラウイ選手の史上初の本選行きをけん引した朴英淑(パク・ヨンスク)監督は、今年はブータン監督として所属選手の初の五輪出場を助けた。
五輪のたびにそれぞれの日程に追われて記念写真の1枚も残すことができなかった韓国人指導者たちは、今度は日付と時間を決めて一堂に会した。五輪で初めて集合写真を撮った韓国人指導者たちは、「韓国のアーチェリーが成績を出してくれてこそ、外国に出ている私たちも元気が出る。韓国アーチェリーの力がまさに私たちの力」と口をそろえた。
李憲宰 uni@donga.com