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シリコンバレーvsウォール街、起業家精神の時代が来た

シリコンバレーvsウォール街、起業家精神の時代が来た

Posted August. 07, 2024 09:00,   

Updated August. 07, 2024 09:00

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5日午後、ソウル全域に雷が鳴り響いた。8%を超える株価の暴落にパニックに陥った韓国の個人投資家たちは、「私の株口座が壊れる音」と叫んだ。恐ろしく下がった株価は6日未明、NYダウ先物で反発の兆しを見せた後、韓国と日本で前例のない反転を見せた。

市場が一体なぜこうなったのか、正確な答えを知ることは難しい。この2年間、米国の雇用が悪ければ、株価は歓喜した。景気が冷え込むとインフレが減速し、米連邦準備理事会(FRB)が早く金利を引き下げるという期待があったからだ。しかし、減速した雇用指標に突然景気後退の懸念が飛び出し、実際の指標より過度の恐怖感が市場を支配した。「経済に悪いニュース=株価に好材料」というナラティブが崩れたのだ。

「人工知能(AI)が証券市場をリードする」というシナリオも崩れた。パンデミック以降、金融を代表する米ウォール街と技術企業を代表するシリコンバレーは「親友」関係だった。NVIDIAやグーグルなどビッグテック企業が目覚ましい業績を掲げたり、雇用を減らしてでもAI投資を増やすと言えば、ウォール街は拍手を送った。将来の成長性に優れた7つのテック株を指す「マグニフィセントセブン(M7)」と言ったのもウォール街だった。1960年代の映画「荒野の7人」の英語タイトルから着想を得て、バンク・オブ・アメリカのアナリスト、マイケル・ハートネット氏が昨年大衆化させた。アップル、マイクロソフト(MS)、NVIDIA、グーグル(アルファベット)、アマゾン、メタ、テスラを指す。

しかし、先月、ウォール街は「AIが思ったより金を稼ぐのが難しく、投資が過熱した」とAIバブル論を持ち出した。わずか1ヵ月の間に、希望の象徴だったAIが将来の有用性まで疑われるようになった。ヘッジファンド会社のエリオットは、投資家に「AIは誇大広告であり、ソフトウエアの改善の意味しかない」と警告し、わずか1年前にAIが未来を変えるとしたゴールドマン・サックスは最近、バブルは破裂するだろうと警告した。さらにマイクロソフト、アマゾン、グーグルの四半期の業績が期待を下回った。「AIバブル論」ナラティブが大勢を占めるようになった。

実際、「業績不振」と言っても、M7のうち赤字企業はない。市場は、「この程度の株価を維持するには、投資を減らすか、もっと成果を出せ」ということだ。ウォール街の圧力にグーグルのCEO(最高経営責任者)であるスンダル・ピチャイ氏は、「転換期には過剰投資が過少投資より良い」と答えた。メタのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏も、「現時点では、手遅れになるより必要になる前に能力を構築するリスクを取る方が良い」と話した。シリコンバレーとウォール街の同床異夢が始まったのだ。

どちらが正しいかは、時間が答えを出してくれるだろう。ドットコムバブルの時もそうだったように、市場が過熱すればいつか破裂するものだ。スタートアップのミッションにAIという言葉を入れるだけで、投資が殺到する非合理的な過熱が感知されたのも事実だ。

しかし、株価が下がったからといって、AI無用論まで持ち出すのは無理がある。リスクを取らない未来技術投資は存在しない。企業と市場の駆け引きの中で発揮されなければならないのが起業家精神だ。誰も答えが分からず混沌に陥った時、中心を捉えて未来に向かわなければならない。すでにグローバルAIバリューチェーンに乗った韓国企業も揺るがず長期戦に備えなければならない。