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北朝鮮が数学秀才総動員、ハッキング130万件阻止する対策はあるか

北朝鮮が数学秀才総動員、ハッキング130万件阻止する対策はあるか

Posted August. 08, 2024 08:55,   

Updated August. 08, 2024 08:55

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休戦線の北朝鮮側の夜空は真っ暗だ。深刻な電力不足で都心も暗い。対北朝鮮制裁で航空油が不足している北朝鮮は、日が暮れると戦闘機も飛ばせない。空中給油訓練までして夜空を照らす韓国空軍とは異なり、レーダーに捕捉される北朝鮮の戦闘機の夜間航跡は指で数えるほどだ。

そのような北朝鮮にも24時間昼夜を問わず灯りが消えない場所がある。窓もない空間で昼か夜かも分からないまま24時間スロットマシンが回転するカジノのように、ここでは黒い熱気を発しながら明るいモニターの下、一日中作業が続く。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、電力の浪費を心配する必要のないこの「狂った」コストパフォーマンスの高い作業に白頭(ペクトゥ)血統の未来がかかっていると判断し、国家人材総動員令を下した。

北朝鮮のハッキングの話だ。IT最貧国である北朝鮮は、ハッキング能力だけは先進国の仲間入りを果たした。この皮肉な状況をどう説明できるだろうか。

まず、ハッキングという作業の性格から見てみよう。高位情報当局者は、「ハッキングは一見、技術集約的な作業のように見えるが、実際は労働集約にはるかに近い」と話した。何をするかよりも、どれだけ執拗にするかでサイバー犯罪の成否が左右されるという意味だ。有名ハッカーの寿命が30代を超えることが難しいのもそのためだ。その点、正恩氏の一言で老若男女総動員が可能な北朝鮮体制の骨格は、ハッキングに最適化されている。北朝鮮当局は、体力があり、長時間集中できる青少年をサイバー犯罪者として思う存分育て、露骨にコンピュータの前で働かせることができる。国家システム自体がハッキングに最適化された集団なのだ。

このような環境に、執拗な努力まで加わった。国家情報院によると、北朝鮮当局は数学・コンピュータの芽を早期に発掘し、ハッカー養成過程に投入する。「基礎→専門→上級段階」を経て、実戦ハッカーに育てた後、外国の大学に送り、成果を出したハッカーには金銭的な恩恵まで与えている。事実上、正規教育のようなはしごが用意され、身分ではなく能力中心で評価する闇の職業だ。ボーナスの特恵まで提供するため、最近では北朝鮮の青少年のうち自発的なハッカー志願者まで増えていると韓国当局は見ている。

正恩氏がハッキング「オールイン」を公言した2016年から今年2月まで、ハッキングで奪取した暗号通貨の規模だけでも2兆4千億ウォンに達する。これまで、韓国軍・情報当局も手をこまねいていたわけではない。サイバー担当部署の予算・人員を増やし、北朝鮮のハッカーを逆にハッキングする「ホワイトハッカー」まで動員して対応している。

しかし、物理的な限界は明らかだ。正恩氏の陣頭指揮の下、1日平均130万件以上ものハッキング攻撃をすべて阻止するのは容易ではない。情報筋は、「政府機関が使命感だけを掲げて民間企業と競争して優秀なIT人材を確保するのが難しいのも事実」と話した。

政府機関が北朝鮮のハッキングをすべて防ぐことができないのであれば、専門機関、民間企業との協業体制を精緻化し、被害の最小化に重点を置く必要がある。優秀なIT人材が情報機関の厳しい身元調査の敷居を越えられない場合も多いという。IT人材の特殊性を考慮し、内部規定や採用方式を柔軟に調整するなど、思考の転換も必要な時だ。