韓国系米国人監督のリー・アイザック・チョン氏(45・写真)が再び旋風を巻き起こすことができるだろうか。
チョン氏が、14日に韓国で公開する「ツイスターズ」で復帰する。米ゴールデングローブ賞外国語映画賞、アカデミー助演女優賞(ユン・ヨジョン)を受賞した「ミナリ」(2021年)以来3年ぶりだ。制作費200万ドル(約27億ウォン)の小規模映画「ミナリ」で評価されたチョン氏が、初の商業映画として制作費1億5500万ドル(約2133億ウォン)にのぼる大作のメガホンを取った。チョン氏は7日、ソウル龍山(ヨンサン)区の映画館で開かれた記者懇談会で、「子どもの頃からブロックバスター映画を作るのが夢だった」とし、「魔法のような竜巻を間近で体験してほしい」と話した。
映画は、ニューヨーク気象庁の研究員のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が竜巻を追いかける物語だ。ストーリーはシンプルだが、観客に竜巻に遭遇したような臨場感あふれる体験を提供する。アイマックス、4DXなどの特殊上映館で楽しむと、真夏の暑さを吹き飛ばすほど涼しい恐怖を感じることができる。チョン氏は、「すべての世界がスマートフォンの小さな画面に縮小され、巨大なものを見る機会が失われている」とし、「映画館という安全な空間で、私たちよりはるかに大きな存在を体験できるだろう」と話した。
アーカンソー州で幼少期を過ごしたチョン氏は、幼い頃、トラックに乗って竜巻から逃れた経験がある。恐怖に満ちた記憶は「ミナリ」に込められた。父親のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)が家族を連れて米南部の田舎の農場に押し寄せる竜巻を避けるシーンに昇華されたのだ。チョン氏は先月15日(現地時間)、米メディア「インディ・ワイヤー」とのインタビューで、「『ミナリ』で納屋が燃えるシーンを撮った後、災害映画を作らなければならないと思った」と話した。
「ツイスターズ」で竜巻の威力を生かすために選んだのは屋外撮影だ。オクラホマ州、カンザス州の平原でほとんどのシーンを撮影した。俳優たちに風、土、雨、ひょうを当てながら、生き生きとした表情を表現した。チョン氏は「視覚特殊効果(VFX)よりも屋外撮影を多くしたかった」と話した。
新作は1996年に公開された映画「ツイスター」の続編だが、前作を知らない人でも容易に共感できる作品だ。スティーブン・スピルバーグ監督が共同で制作を担当し、公開前から話題を集めた。先月17日に米国で公開された直後、ボックスオフィス1位になった。7日現在、世界売上2億8130万ドル(約3875億ウォン)を記録している。チョン氏は、「初めてのブロックバスター演出が怖かったが、避けたら一生後悔すると思った」とし、「恐怖が私に成長の機会とインスピレーションを与えた」と話した。
竜巻という馴染みのない素材に国内の観客が反応するかは未知数だ。竜巻を題材にした「イントゥ・ザ・ストーム」(2014年)は、国内で207万人が観覧した。チョン氏は、「人生で予期せぬ出来事に遭遇し、コントロールを失って無力感を感じる時がある。竜巻を経験したことがない観客でも誰でも共感できるだろう」とし、「次回作は『ミナリ』に近いのか『ツイスターズ』に近いのか分からないが、また別の挑戦をしたい」と話した。
イ・ホジェ記者 hoho@donga.com