Go to contents

AIなど破壊的な新技術への政策支援、より大胆に行うべきだ

AIなど破壊的な新技術への政策支援、より大胆に行うべきだ

Posted August. 12, 2024 09:04,   

Updated August. 12, 2024 09:04

한국어

「韓国の課題は2つある。革新分野で世界的なリーダーになること、そして他の国々が韓国のように高所得国家になるよう支援することだ」

世界銀行のインダーミット・ギル上級副総裁兼チーフエコノミストは5日(現地時間)、東亜(トンア)日報などとのインタビューでこのように話した。ギル氏は、中進国が先進国に届かず、停滞したり低所得国に後退する現象を意味する「中所得国の罠(Middle income trap)」という用語を初めて提唱した経済成長理論の著名な経済学者だ。

「2024年世界開発報告書」で韓国を「経済成長のスーパースター」と評価したギル氏は、韓国経済の最大の課題として、低出生率でも米大統領選挙を前に広がっている保護貿易主義でもなく、革新を挙げた。

韓国が特に人工知能(AI)や量子コンピューターなど核心的な新興技術投資に遅れているからではない。ギル氏は、「韓国がAIやマシーンラーニングなど新しい技術に備えていないとは思わない」とし、「韓国は非常に良い技術と革新環境を備えている」と述べた。

ギル氏が、革新を韓国の最大の課題として挙げた理由は、政策決定力と規制のためだ。ギル氏は、「韓国は1997年の通貨危機当時、大企業に有利だった規制を改革してバランスを取り、情報技術(IT)革新を成し遂げた」と指摘した。しかし、「革新は絶え間ない戦いだ」とし、「国際経済環境が厳しくなり、開放の力が弱くなる時、政策決定はより複雑になり、規制はより精巧にならなければならない」と強調した。AIなど産業地形を揺るがす破壊的な新興技術の登場、米中間の戦略競争でますます高まる保護主義の波の中で、韓国が経済成長の神話を続けるには、民間を支える政治や行政など公共部門の競争力革新が必要だということだ。

実際、米国では激しいグローバル半導体戦争の中、韓国の支援政策に対する厳しい評価が相次いでいる。米国のシンクタンク、ピーターソン研究所は6月、米国の半導体法以降、韓国と日本、台湾など主要国の政策を比較した報告書で、「米国の半導体法は莫大な補助金で多くの投資を誘致し、完全な半導体バリューチェーンを確保するよう誘導している」とし、「一方、韓国の半導体投資は主に韓国企業に限られている」と指摘した。スタンフォード大学サイバー政策センターのチャールズ・モク研究員は、外交専門誌「ディプロマット」に、「日本が産業政策を通じて国内生産能力の強化に注力したのに比べ、韓国の対応は比較的不十分だった」とし、「韓国は対中依存度の問題も政治的リーダーシップの不在の中で迷走している」と指摘した。

一部の技術では中国が急速に追い上げているが、米国の新興技術支援体系は参考になる。米国は未来のゲームチェンジャーとされるAIと量子コンピューター技術は、ホワイトハウスにコントロールタワー格の委員会を設置し、各政府部門の規制と財政支援、公共および大学研究所の技術研究、官民コンソーシアムを通じた商用化技術開発を調整している。この委員会は、科学技術政策を専任してきた専門家たちが主導している。何よりも、オバマ政権からトランプ政権、バイデン政権を経ながらも、AIと量子コンピューターに対する関心と支援政策は揺るがなかった。

韓国政府が最近、国家AI委員会を発足させたのは遅ればせながら歓迎する。しかし、半導体産業支援のための税額控除の拡大を主な内容に盛り込んだ「Kチップス法」などがまだ国会の敷居を越えられないのを見ると、心配が先行するのも事実だ。ギル氏は、「米国の民間部門は規制と公共政策のおかげで非常に回復力が強い」とし、「これは韓国にも重要な教訓になり得る」と話した。聞き流してはならないアドバイスだ。