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出生率が心配なら相続税より贈与税の減免を

出生率が心配なら相続税より贈与税の減免を

Posted August. 13, 2024 09:21,   

Updated August. 13, 2024 09:21

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韓国の相続税は、死者が残したすべての財産を合計して課税する。一括控除額を5億ウォンに決めたのは1997年だ。当時、ソウル都心の84平方メートル(専用面積基準)のマンション価格が1億ウォン台半ばだった。マンション3戸程度は税金負担なしに家族に譲るという趣旨で決まった金額だ。ところがこの数年間、ソウルのマンション価格が大幅に上昇し、状況が変わった。住んでいた家を売って相続税を払わなければならない家庭が少なくない。

最近、政府が相続税の減免を含めた税法の改正案を出した。物価の引き上げを反映し、租税体系を合理化しようという趣旨で設けられたのだ。早くも「中間層も相続税を心配する時代が来た」という記事を書いた立場から嬉しく感じられる。

予想外だったのは、一括控除ではなく、子女控除を現行の5000万ウォンから5億ウォンに引き上げたことだ。近いうちに相続しなければならない80代や90代世代としては子供が多いので、恩恵が期待される。しかし、今後相続を準備しなければならない50代や60代の世代としては、子供の数が大幅に減ることもあり、あまり役に立たない。国会可決という手続きも残っており、まだ遠い話のように聞こえることもある。

子供控除を増やしたのは、少子化時代に出産奨励のメッセージも盛り込んだという説明が出ている。本当に出生率を心配して経済活性化を図ったのだとすれば、死亡後の相続ではなく、生きているうちに次の世代に富の移転を助ける贈与税の減免がさらに効果的になりうる。実際、出産する年齢帯は20代や30代世代であり、彼らにとって政府が推進する相続税控除の恩恵はあまりにも遠い話かもしれないからだ。

最近は、「財産は死ぬ直前まで握りしめていろ」という言葉を信奉する高齢者が少なくない。子どもにあらかじめ財産を渡せば、親不孝をあおるという話も出ている。その度に「あの方は、子供の代わりに国に財産を献納するだろう」と思った。しかし、法案通り相続税は減らし、贈与税はそのままなら子供が多い高齢者ほど贈与を先送りするのが節税戦略に合う。

韓国より15~20年ほど高齢化が進んでいる日本は、正反対の政策を展開した。80代や90代の親が死亡すれば、60代や70代の子どもが相続を受ける「老老相続」で、富のロック現象が社会問題になったためだ。高齢者の膨大な富が消費や再投資につながらないまま、預金の形でロックされていたのだ。

日本政府はこれを解決するため、2013年に生前贈与制度を拡大した。60歳以上の親が18歳以上の子どもや孫に贈与すれば、住宅購入費は500万~1000万円、孫の教育費は1500万円、結婚育児費は1000万円を非課税にする特例を一時的に導入した。老人世代の資産を青壮年層に移して消費を刺激し、金が回るようにしたのだ。

これに先立って、2001年から1人当たり(受贈者基準)年間110万円までの贈与は課税しない「暦年贈与」制度を導入し、相続税の負担を軽減させた。暦年贈与には子供と孫はもちろん、他人に行う寄付も含めた。この時、相続日基準で3年以内に暦年贈与した金額からは相続額に合計されるが、日本政府はこれを今年から「7年以内」に増やした。「もっと早い」贈与を誘導したのだ。

資産の高齢化は他国の話ではない。統計庁によると、2022年、韓国の60歳以上の高齢層の純資産は3700兆ウォンを超え、全体資産の40%に迫る。さらに大きな問題は、この資産の大半が不動産に集中しているということだ。健全な富の移転について考えなければならない理由だ。

相続贈与税と関連して、一方では二重課税のイシューが、もう一方では「金持ち減税」として富の世襲を防がなければならないという主張が常連のように出ている。それでも資本主義社会なら誠実に働き、貯蓄しながら資産を増やしていく人生は勧奨されなければならない。そうしてこそ国が豊かに強くなれる。