伝貰(チョンセ=住宅の賃貸保証金)詐欺や振り込め詐欺など、組織的に行われたり、大規模な被害を与えた詐欺犯罪に対する処罰が最高無期懲役にまで強化される。これまでは被害者が望まなくても被疑者が減刑を受けるための手段として「供託」を悪用したが、今後は実質的な被害回復がなされなければ刑を減免しないことにした。庶民を対象にした「企業型伝貰詐欺」等の被害が相次ぎ、厳しい処罰が必要だという指摘を反映したものと分析される。詐欺犯罪の量刑基準が変わるのは、2011年以降13年ぶりのことだ。
●伝貰詐欺などは最大で無期懲役まで可能
13日、最高裁判所量刑委員会(李祥源委員長)は前日、全体会議を開き、「詐欺犯罪量刑基準の見直し案」を議決したと明らかにした。量刑委員会は、伝貰詐欺や振り込め詐欺など組織的詐欺の中で、詐欺金額が50億~300億ウォンの場合と一般詐欺の中で詐欺金額が300億ウォン以上の場合は懲役25年6ヶ月まで判決できるよう勧告している。罪質が重ければ勧告量刑よりもさらに重く処罰する「特別調整」を通じて、最大無期懲役まで判決するよう量刑基準を強化した。
量刑委は、詐欺金額が300億ウォン以上の組織的詐欺に対して加重処罰する場合、最大無期懲役を判決するよう明示した。これまでも、「11年以上の懲役刑」を判決する規定はあったが、今回「無期懲役」まで可能だという点を明示したのだ。
また、従来は一般詐欺で5億~50億ウォンの被害を与えた詐欺犯に対しては、最大10年6ヶ月の懲役刑まで判決できたが、今後は最大12年まで判決できる。同じ被害規模の詐欺事件でも、組織的に行われた場合は、最大16年6ヵ月(従来13年6ヵ月)まで判決できる。
この間、伝貰・振り込め詐欺・保険詐欺など詐欺犯罪の類型が多様化し、組織化しているにもかかわらず、量刑基準は過去の単純詐欺犯罪に合わせられており、犯罪予防効果が劣るという指摘が提起された。今回の量刑委の決定で、大規模な被害を量産した詐欺犯に対し、重刑を判決できるガイドラインが設けられたという評価が出ている。
●「奇襲供託」による減刑も防ぐ
量刑委はまた、詐欺犯罪者が裁判所に被害者が望まない供託をするなど、実質的な被害回復が実現しない場合は、量刑を減免しないことにした。供託は被害回復の手段に過ぎないにもかかわらず、供託が当然の減刑考慮要因であると誤認される恐れがあるという批判を考慮した措置だ。
保険詐欺に対する処罰を強化し、執行猶予の判決基準を制限する案も勧告案に含まれた。量刑委は、「保険など専門職従事者が犯行に加わった時は」加重処罰できるようにした。また、この間、金融詐欺などを処罰する時、「被害者が短期間で高収益を得ようとした場合」を被告の減刑理由として考慮したが、今後は刑を減免しないことにした。組織的詐欺で犯行を主導的に計画したり実行を指揮した被告に対しては、執行猶予判決をさらに厳格に判断するよう勧告した。
量刑委は今後、公聴会と関係機関の意見の問い合わせなどを経て、来年3月の全体会議で詐欺犯罪の量刑基準を最終的に議決する予定だ。量刑委員会は、「詐欺犯罪の様相および国民認識の変化、既存の量刑基準の全般的な再検討を経て、勧告量刑範囲を定めた」とし、「多数の被害者を量産し、社会的害悪の大きい多重被害および高額詐欺犯罪に対する厳罰の必要性などを考慮し、処罰上限を引き上げた」と明らかにした。
キム・ジャヒョン記者 zion37@donga.com